陥入爪(かんにゅうそう)、巻き爪(まきづめ)
古川整形外科医院
院長 古川 泰之

足のゆび(ほとんどがおやゆび)の爪が食い込んで周囲が赤くはれて汁や血が出て、さらに爪の横に肉芽(にくげ・・・赤い肉の塊)ができ、痛くて靴が履けない、歩くのさえつらくなることがあります・・・この状態を陥入爪といいます。

原因としては爪の切りかたが悪い(へりを短く切りすぎたり、爪周囲を誤って傷つけたりなど)、先細りの窮屈な靴やハイヒール等で足趾を締め付けたりなどがありますが、爪のへりが巻いて食いこむ巻き爪によることが多いようです。

陥入爪の治療法軽症ならコットンパッキング(爪のへりの部分で爪の下の隙間に綿をつめる)をします。
腫れがひどく、慢性化している場合に、ときに爪のへりがトゲ状になって刺さっていることがあります。この場合十分に局所麻酔をかけた後に、この爪のトゲの切除が必要で、さらに爪のヘリの部分にチューブを取り付ける方法が推奨されています。

爪が食い込んでいるので患者さんの自己判断で、爪のヘリの部分を斜めに切って来院されることがあります。そうするとコットンパッキングができなくなるし、後に説明する巻き爪の矯正ワイヤーを入れることができず治療に難渋します。
足の爪の伸びるスピードは意外と遅く1ヶ月に約2ミリ程度ですので待機時間が必要になります。従って爪(特にヘリの部分)を切らないで来院されることが大切です。

肉芽に対しては、硝酸銀などで処置します。(肉芽の部分に局所麻酔剤を滴下する麻酔をおこないます)
黒く変色するので見た目が良くありませんが、色は一時的なもので、しばらくすると黒い部分が脱落してきれいになります。(必要に応じて何度かこれを繰り返します)

巻き爪の根治術としては、最近まで巻いている部分が永久的にはえないように爪の根本まで切除する侵襲が大きい手術療法が一般的でした。
この方法は、現在、保険治療として認められており、以前は当院でも行っておりました。
しかし、かなり痛みを伴い、創治癒に時間がかかることがあり、また短期成績は良好ですが、再発の可能性が否定できず、また爪幅が狭くなり、さらに爪が傾いて見た目だけではなく、つま先に力が入らないなど機能上の問題がおこる場合がありました。

そこで、7年ほど前に、日本で特殊なワイヤー(超弾性ワイヤー)を使う巻き爪矯正法が開発されました。
通常爪切りをする部分(爪の両方のヘリ近く)に小さな穴を2つあけ、そこにワイヤーを通して抜け防止に爪に接着剤で固定するもので痛みはほとんどありません。
ワイヤーの弾性によって巻き爪が矯正されます。(ヘリの部分が持ち上げられる)
この方法は、ここ数年の間に徐々に一般化し、当院でも最近始めました。
かなり効果があり、当院では従来の根治術はおこなわなくなりました。
ワイヤーを入れた後すぐに入浴もでき、通常の日常生活に特に制限はありません。
残念ながら爪が伸びてくるとワイヤーの効果がなくなります。
しかし、爪が伸びた後、爪を正しく切る(爪のへりを斜めに切るのではなく、へりを残して真横に切り、へりが皮膚の上にのりあげるようにする)必要ならコットンパッキングをおこない、履物で締め付けないように気をつければ再発はかなり防げるし、もし再発しても何度でもワイヤーを入れることができます。
治療にある程度時間がかかり根気強くやる必要がありますが、侵襲が少なく効果的な良い方法だと考えております。



爪の正しい切り方

平成19年4月