爪周囲炎のいろいろ

石橋外科医院
院長 石橋 雅彦


「爪が化膿した。」「巻き爪で足の指が痛む。」といった訴えで来院される患者さんは多いものです。総称して爪周囲炎と呼ばれますが、その状態には、いくつかのパターンがあり、その対処法は同じではありません。細菌感染を伴うものとそうでないものがあり、よく見かける状態は、主に4通りに分類されます。

(1) 初期の爪周囲炎
最もよく見る状態で、爪の周囲が赤くはれて,靴などが当たると痛みます。
押せば多少浸出液がでることもあります。このときすでに細菌は爪の下に侵入しているため、消毒したり、軟膏を塗ったりしても、あまり効果はありませんが、この時期には、抗生物質の内服薬でほとんどの場合完治します。けれども外科に行くと、爪をはがれるのではないかと、この時期を逃して、次の(2)の状態になって訪れる方も少なくありません。

                       

(2) 進行した爪周囲炎
(1) の状態が進むと、図のように、爪の周囲に不良肉芽と呼ばれる、じくじくした肉が盛り上がってきます。 体は細菌を外に押し出そうとしますが、爪と皮膚は境界が入り組んでいるため,細菌を中途半端にしか外に出せません。 つまり爪が邪魔をしていることになります。そこで仕方なく、爪の一部を図のように切除します。膿がたまったおできを切開して膿を出すのと同じ理屈です。 このとき爪の根元まで切除することが大切で、もちろん麻酔なしではできません。爪を取れば、細菌は外に出てしまうので、通常1週間程度で治ります。 3か月もすると爪は同じ形ではえてくるので、もともと爪の形に問題があれば、炎症を繰り返すこともあります。

                       

(3) 爪刺症
これは、爪が皮膚に食い込むようにはえて、当たると角の部分が痛むものです。 細菌感染を伴っていないときは、図のように角の部分を切除すれば痛みは取れます。 根元まで取らなくてもよいので、麻酔も要りません。ただし、爪が伸びると同じ様に食い込んできますので、日ごろから、爪を深めに切ったほうがよいでしょう。

                       

(4)嵌入爪
いわゆるまき爪と呼ばれるもので、爪の両側が文字通り、内側にまいた形をしています。 爪周囲炎を合併して来院多くされることが多く、爪周囲炎を繰り返すことも多いのですが、爪周囲炎が、全てまき爪で起こるのではありません。 実際、典型的な巻き爪は、さほど多いものではありません。 爪は何度取っても、爪の下の爪床と呼ばれる鋳型に沿ってはえてくるので、爪をとるだけでは同じ爪しかはえてきません。 そこで、まき爪の場合は、爪床のまいている部分を切除して皮膚と残りの爪床を縫い合わせる、爪床形成術という手術を行います。 15分くらいで終わる手術ですが、まき爪が原因で、爪周囲炎を繰り返す場合に行います。
不思議なことに、爪周囲炎は中学生、高校生に圧倒的に多く、それ以降は、頻度が減少します。 したがって部分的に爪の形を変える爪床形成術は、年齢も考慮して行ったほうがよいでしょう。

平成19年12月