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甲状腺の病気
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本間病院
副院長 本松 利治 |
| 甲状腺の病気は約20人に1人いるだろうと推定され、結構多い病気です。中年以降に増え、女性に多く患者さんの90%が女性です。 甲状腺の働きが低下する病気は、特徴のない症状が多く徐々に進むため、うつ病や認知症など他の病気に間違えることがあります。今回は、甲状腺の病気を紹介しましょう。 ![]() 1. 甲状腺とは ・甲状腺は甲状腺ホルモンを産生し分泌する小さな内分泌器官です。 ・甲状腺は、のどぼとけ(喉頭隆起)の下方にあります。約2×4cm大の左葉と右葉がありますが、普通は見たり触れたりできません。 ・甲状腺が大きくなり硬くなると、甲状腺が眼に見え手で触れるようになります。 2. 甲状腺ホルモンの働きは ・甲状腺ホルモンは、体の新陳代謝や活動を活発にする働きをしています。 ・ホルモンが多すぎると、身心の働きが活発になり、走っている状態になります。 ・不足すると、身心の働きが低下し、子供では体や脳の発育が悪くなります。 3. 甲状腺ホルモンの種類は ・甲状腺ホルモンには、甲状腺から分泌されるサイロキシン(T4)と、血中でT4から変化するトリヨードサイロニン(T3)があります。また、脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌され、甲状腺ホルモンの分泌を調節しています。 ・血中には、T4とT3とTSHの甲状腺関係のホルモンが存在します。 4. 甲状腺の病気の種類は 甲状腺の病気は大きく分けると、@甲状腺ホルモンの働きが少なすぎる甲状腺機能低下症、A甲状腺ホルモンの働きが多すぎる甲状腺機能亢進症、B甲状腺腫瘍の3種類があります。 ここでは、患者さんの数が多い甲状腺機能低下症と次に多い甲状腺機能亢進症を紹介しましょう。 5.甲状腺機能低下症や機能亢進症の病気の原因は これらの病気の大部分は、自己免疫疾患が原因です。自己免疫疾患とは、細菌やウィルスや癌細胞など自分以外のものを排除し自分の体を守る役目の免疫が自分の体を攻撃する病気です。なぜか、自己免疫疾患は女性に多い病気です。 6. 甲状腺機能亢進症はどのような病気か ・原因の殆どが、甲状腺機能亢進と眼球突出があるバセドウ病です。 ・症状は、動悸がする、脈が速い、汗が多い、痩せる、いらいらする、手が振るえる、熱が出る、疲れやすい、血中コレステロール低下などと眼球突出です。 甲状腺は腫大し硬くなるため、甲状腺腫大が眼に見え触れるようになります。じっとしていても走っている状態ですね。 治療をしないと、心不全などの重い病気を起こすことがあり危険です。 ・診断は、甲状腺腫大と血中の甲状腺関係のホルモンを測定します。甲状腺の異常さえ疑えば、診断は簡単です。 ・治療法には、抗甲状腺薬を内服する薬物治療、甲状腺を切除する外科治療、アイソトープを使用する放射線治療などがあります。それぞれに長所と短所がありますので、主治医とよく相談して治療法を選ぶとよいでしょう。 7.甲状腺機能低下症はどのような病気か ・原因の殆どは慢性甲状腺炎で、橋本病とも呼びます。日本人の橋本策博士が発見しました。 ・症状は、身心とも元気がなくなります。疲れやすい、気力・活力の低下、思考力・記憶力・集中力の低下、便秘、血中コレステロールの増加などです。進行すると、むくみで体重が増え、体温が低下し寒がり、脈拍数が減り、心臓が腫れます。甲状腺は腫大し硬くなるため、甲状腺腫大が眼に見えたり触れるようになります。 ひどくなれば、心不全や昏睡などで重症になり危険です。 ・バセドウ病と反対の症状ですが、ゆっくり進行し特徴のない症状が多いため、気付くのが遅れがちです。認知症やうつ病に間違われることもあります。 ・診断は、甲状腺腫大と血中の甲状腺関係のホルモンなどを測定します。やはり、甲状腺の病気を疑えば、診断は比較的簡単です。 ・治療は、症状や甲状腺ホルモンの不足の程度に応じて、甲状腺ホルモンを服用します。 8.まとめ 甲状腺の病気は皆さんが想像している以上に多い病気です。病気の診断は、先ず皆さんが甲状腺のことに関心を持ち疑うことから始まります。 甲状腺の病気を疑う時に受診する医療機関は、内分泌内科、内科、外科、耳鼻いんこう科などがよいでしょう。診断のための検査は、クリニックでも病院でもできます。 平成20年11月 |