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肥満のおはなし
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本間病院
本松 利治 |
肥った人は豊満で大らかな人柄が多く“肥っている”ことはもともと良いイメージでした。ところが、過度の肥満が糖尿病や高血圧など万病のもとであることが解り、肥満は健康上の悪玉になりました。さらに、医療費節減のために国が生活習慣病の予防に力を入れメタボリックシンドロームをターゲットに特定健診を始めたため、肥満はますます悪役として注目を集めています。 肥満と健康にまつわる最近の話題をお話ししましょう。 ○肥満は文明病 肥満の原因は食べ過ぎと運動不足で、肥満は豊かで便利な人間社会の象徴です。人と暮すペットにも肥満と生活習慣病が増えていますね。因みに、野生の世界に肥満はありません。食べ物にありついた時に余剰のカロリーを脂肪として蓄え、飢餓の間は蓄えで生き延びます。食べ物が豊富になると動物の数が増えるため自然界に肥満する余裕などありません。 ○巧妙な食欲調節のしくみ 脳に食欲を調節する食欲中枢があり、食欲中枢を介して食欲が調節されています。私たちが食べると、飲食に反応して胃腸や脂肪組織から分泌される色々なホルモンや吸収された栄養が脳の食欲中枢に働き満腹感や空腹感を調整します。このように食欲は巧妙に自動調節されていますが、食欲には個人差がありますね。 ○脂肪沈着の種類と脂肪組織の働き 体に沈着する脂肪の種類は、皮下脂肪と内臓脂肪(腹腔内脂肪)と異所性脂肪があります。脂肪が蓄積する主な場所は皮下脂肪ですが、肥満が高度になると腹腔内の内臓脂肪や正常では極少量の脂肪しか含まない非脂肪細胞の異所性脂肪が増加します。 ○良い肥満と悪い肥満〜肥満と病気 肥満は脂肪の付き方で皮下脂肪蓄積型肥満と内臓脂肪蓄積型肥満に分類されます。皮下脂肪蓄積型は、臀部から大腿部にかけて皮下脂肪が付く女性に多い洋ナシ型肥満です。内臓脂肪蓄積型は、上腹部がせり出すリンゴ型肥満で男性に多く、内臓脂肪や脂肪肝などの異所性脂肪が多い肥満です。内臓脂肪蓄積型肥満や内臓脂肪・異所性脂肪が多い肥満は、糖尿病・高血圧・高脂血症・脂肪肝など病気を起こしやすい悪い肥満です。 ○肥満の診断法 肥満の診断は、身体の脂肪量を測定できればよいのですが、簡単な方法がありません。体重は脂肪量より身体の大きさに影響されますので、いまは体重と身長から計算したBMI(body mass index)という肥満指数を使います。 ○肥満症の治療 肥満のために病気を合併しているか、内臓脂肪蓄積が多く病気が発生するリスクが高い肥満を肥満症といいます。換言すれば、治療として体重減量が必要な肥満のことです。 ★まとめ 近頃は肥満や高LDL−コレステロール血症は医学的にも世論でも悪玉説が有力で定着しています。しかし、適正体重より肥満のほうが長生きする、血中LDL−コレステロールは高い方が長生きするなど、世の中には色々な研究論文や意見もあります。心筋梗塞や脳卒中など一定の病気に視点を置いて見ると肥満の悪玉説になり、一定の病気にこだわらない総死亡率で見ると善玉説になる可能性もあるのです。皆さんはどちらを信じますか?平成23年5月 |