エコノミークラス症候群(旅行者血栓症)
富安医院
院長 富安 祥尚

 飛行機の利用に伴って生じる「エコノミークラス症候群」が注目されています。最近では、ビジネスクラスの乗客やバス、電車などの利用者にもみられることから「旅行者血栓症」とも呼ばれています。正しい予防法を知り、未然に防ぐことが大切です。

◆どんな症状が起こりますか?
 旅行者血栓症は、飛行機の座席のような狭い場所に長時間同じ姿勢で座ることで、足の静脈に血栓(血の塊)ができて起こる疾患です。
 飛行機の着陸後、座席から立ち上がった際に血栓が肺に達して血管が詰まり、呼吸困難や意識障害を起こして倒れるケースが多く、死亡する危険性もあります。
 発症した患者さんの平均搭乗時間は11.6時間で、半数近くの人は飛行中に一度も席を立っていませんでした。中には、窓側の席で通路に出づらいため、飲水を控えてトイレに立たずにいた人もいます。
 また、女性が患者の大半を占め、特に血栓を生じやすい中年の人に多いのが特徴です。

◆どうすれば予防できるのですか?
 予防には、十分な水分摂取と足のマッサージが大切です。
 体内の水分は1時間に約50mlずつ失われるため、2時間おきに100mlくらいのペースで水分補給を行ってください。あらかじめペットボトル飲料を機内に持参すると便利です。
 一方、アルコールやコーヒーなど、利尿作用のある飲料は控えましょう。
 足のマッサージは下図の要領で行います。
 なお、下肢静脈瘤や足にけがのある人、ピルやホルモン薬(ステロイド薬など)を飲んでいる人や妊娠中の人、肺塞栓や悪性腫瘍の既往のある人、最近手術をした人などは血栓ができやすい可能性があります。旅行の前に主治医に相談しましょう。