左利きと脳
ヨシタケ脳神経外科クリニック
院長 吉武 康博

  脳神経外科というとただでさえ硬い感じですので脳に関する雑学的なお話をしたいと思います。
 私は左利きで、字を書くときも、お箸を使うときも全て左なので、純粋な「左利 き人間 」ということです。日本人の場合、95%が右利きで、右利きの人のほとんどは左脳に言語機能があります。では少数派の左利きの言語機能はどうかというと、70%は左脳にありますが、右脳に持つ人は15%、左右両方に言語機能を持つ人も15%もいます。         

左脳、右脳の特徴をまとめると次のようになります。

左脳の働き
右脳の働き
言語的 ほとんど非言語性、音楽性
観念的 形や外見に対する感覚(唯物的)
分析的 合成的
部分的 全体的
算術的かつコンピュータ的 幾何学的かつ空間的

 もし脳卒中などで左大脳を障害すると多くの場合、言語障害や右手足の麻痺などがでますので生活する上で不自由なことが生じてきます。
 しかし両側の脳に言語機能を持っていれば言語障害の回復が早いといわれています。最近の研究では
ほとんどの女性は両側の脳に言語機能があることが分かって来ました。女性はお喋りが得意という所以です。

 では、なぜ左利きになるのか少しお話をさせて頂きます。胎児期にアンドロゲンという男性ホルモンが左脳の発達を遅らせるために右脳が発達するという説があります。ですから左利きには男性が多いのです。
 左利き、即ち右脳が発達している人は空間認識の得意なスポーツや美術、音楽、数学などに能力を発揮している人が多いのです。プロ野球選手に左利きが多いことはご存じでしょう。江夏投手や王選手、今では大リーガーのイチロー選手などが有名です。
 逆に左利きのリスクとしては免疫系の病気にかかりやすいこと(右利きの2.5倍)、どもりや失読障害が多いと言われています。生活する上では右利きに便利なように作ってありますので左利きには不便なことが多いと思います。

 以上のように少し難しい話もありましたが分かって頂けたでしょうか。欧米では子供の発達や成長に好ましくないとのことで左利きの矯正をしないのは常識になっているようです。
 これからは日本でも 「左党」が増えてくると思いますがこれは決して政党でも、酒飲みのことでもありませんのでおまちがいなく。