一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 骨粗鬆症について
  • 投稿者:古川整形外科医院 院長 古川 泰之

骨粗鬆症への関心が高まり骨密度測定を受けた方もかなりおられます。
しかし自己判断で牛乳を飲んだり小魚を骨ごと食べているから、運動もしているから、以前骨密度測って正常又は年齢相応だと言われたから、大丈夫だと思いこんで必要な治療を受けず放置している方がたくさんおられます。
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骨粗鬆症になったらカルシウムを余分に取ったりビタミン剤をのんだり運動をするだけでは(骨を維持するのに良いことですが)残念ながら弱くなった骨を丈夫にする事は出来ません。
高齢化社会となった日本において特に女性は年齢と共に(程度の差はありますが)骨粗鬆症は避けられません。
腰背部痛で病院にかかったら明らかな覚えがないのに骨折している(いつのまにか骨折)、骨が弱ったために些細なことで起こる骨折(骨脆弱性骨折)が少なくありません。
骨折すればかなりの痛みがあり、ときに寝たきり更に余病を引き起こし生命にかかわる事もあります。
背骨の骨折の多くは保存的に治療されますが問題なのは大腿骨頚部骨折(股の付根の骨折)でほとんどの場合手術が必要となります。
骨粗鬆症の治療効果は期待できますが、すぐに骨が丈夫になるわけではありませんので早期に治療を始めるべきです。
骨粗鬆症があるけどどこも骨折を起こしてない時期に骨粗鬆症治療を開始するのは理想ですが実際している方はごく僅かです。

furu-seikei20160202 少なくとも初回の骨折(新旧にかかわらず)で骨粗鬆症が原因とわかったら続発する骨折(ドミノ倒し骨折)を避けるために骨粗鬆症治療をすぐに始めるべきだと思います。
しかしながら骨粗鬆症治療を勧めても希望されない方がおられ、また治療を開始してもいつの間にか中止してしまい次の骨折が起ってから慌てて骨粗鬆症治療を再開する事がよくあります。
治療しない、しても中断になる原因はいくつかあります代表例を上げます。
ビスホスホネート(最も多く使用されている治療薬)について限って言うと、一般の薬と異なり空腹時にコップ一杯の水または白湯で服用し30分間は 横にならない、その間に水、白湯以外口にできない(胃薬をはじめ他の薬を同時にのめない)等の煩わしさがあり、その煩わしさ自体が不安を招き治療中止になっているようです。
少しでも服薬率を上げるために改良がなされ回数を減らすよう(毎日→週1回→月1回)現在は月1回が主流になっております。
(残念ながら服用間隔が長くなることで忘れやすくなった側面もあります)
呑み込み易く胃の負担の少ないゼリー剤(週1回)、服薬時の煩わしさが無い注射(月1回)もあります。
また副作用に対する心配があります。
特に顎骨壊死に関しては確かに重大な副作用ですが頻度は稀で以下の事を守ればまず心配いりません、それは歯科治療で抜歯またはインプラント(ともに顎の骨に外科的侵襲を加える)については前後各3ヶ月間、計6ヶ月休薬する。
この休薬期間の後に治療中止になる事が多い。
顎骨壊死は口腔内清浄が得られてないと起りやすく日頃から歯磨き、歯石の除去等の口腔内ケアや義歯の調整は大切で歯科治療は積極的に受けるべきです(口腔内清浄が得られていない場合や歯槽膿漏がある方は要注意です)。
つまり歯科主治医に骨粗鬆症治療中であることを伝える事が大切です。
近年骨粗鬆症治療は進化し、より効果のある薬(副甲状腺ホルモン薬、抗RANKL抗体薬など)が出て今後さらに進歩すると思われます。
骨折を起こす前に、骨折を繰り返す前に今できる骨粗鬆症治療を積極的に受けるようにしましょう。

平成28年2月

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