CDC 肺炎の予防のためのガイドライン
田中 泰之 2004/04/11 (日) 16:40 [No.649]
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ICDメーリングリストよりの情報です。
2004年3月26日にCDCより「医療に関係する肺炎予防のためのガイドライン、2003年版」が発表されて
いますが、早速メンバーの市川高夫先生が全訳しネット上で公開中です。
かなり専門的でありますが、インフルエンザの項目においてはタミフル等の予防投与方法が記載されて
します。
また、百日咳・RSウイルス・パラインフルエンザウイルス・アデノウイルスの記載もあり小児科の
先生方にも有益な情報と考えます。
ただしアメリカのガイドラインであることを失念なきようお願い致します。
新潟県立六日町病院 CDCガイドライン(麻酔科部長 市川高夫先生訳)
http://www.muikamachi-hp.muika.niigata.jp/acad_cdc.html
| 肺炎球菌ワクチンの評価はどうなのですか? 二回目接種については? |
| 1)ガイドラインでは重症肺炎双球菌感染に65歳以上等の高リスクの患者にはワクチン行いなさいとなってい ます(P13-14)。ただ、この勧告はこのワクチンが肺炎双球菌性肺炎を予防する効果認められたためでなく 肺炎双球菌の菌血症をおこすような重症の肺炎を一部予防できる医療経済効果が認められたため出されて いるということを認識しておく必要があると思われます。 Jackson, LA et al., NEJM 348: 1747-1755, 2003も23価肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による菌血症 (菌が血液から分離される状態)がおこる割合を 1,000人・年あたり、0.68(ワクチンを接種しなかった場合) から0.38(ワクチンを接種した場合)に44%減少させることができるが、肺炎に対する防止効果は見られない とされています。 さらにその医療経済効果もアメリカでの接種料金$12が前提であって日本のように5000円を越える効果は 認められていないのが現状です。 以上のことから私は現在肺炎球菌ワクチンを勧めていませんし、もし勧めても肺炎球菌性肺炎が予防でき るとは言わず重症の肺炎球菌性肺炎が予防できるとのみ伝えると思います。 注)インフルエンザワクチンとの併用で肺炎予防効果が認められたとの報告はあります。 2)2回目の接種はアメリカではみとめられいますが、日本ではいまだ認められていません。 添付文書には既接種者は接種不適格者となっていますので副作用が起こった場合責任を総て負うことになり お勧めできません。 参考文献 23価肺炎球菌ワクチンの感染防止効果および医療経済効果について http://idsc.nih.go.jp/iasr/25/288/kj2886.html 高齢者の予防接種インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種状況 日医雑誌131,3,2004.2 p342-346 |
| 日本の考え方、行政のスタンスがわかりますね。 |
| 田中先生、いつも有用な情報を有難うございます。 このガイドラインの中に、抗インフルエンザ剤の予防投与について 最低2週間、あるいは収束後1週間の予防投与の記述がありますが、 現実には、医療保険では認められないでしょうし、シンメトレルのみならず 近頃はタミフルでさえ耐性の問題も生じています。 このような諸々を考慮すると、なかなか実行し難いようにも思いますが 如何でしょうか?現実的で妥当な方法などがありましたら御教示ください。 |
| 1)確かに現在の日本では保険上認められていませんので現在は投与する機会はないと思われます。 ただ、新型インフルエンザが流行しパンデミックの状態となった場合考慮すべき方法と思われますので 参考にすべき文献と思っております。 2)タミフルの耐性については憂慮すべき事柄でありますが、実験的ヒトインフルエンザ感染症における 予防実験においては発症前にタミフルを投与することによってウイルス排出は速やかに停止することが証明 されており(インフルエンザウイルスの消失 予防投与:投与後36時間,治療投与:投与後7日後)、このため 予防投与を勧めているもと思っております。(文献:JAMA 1999;282:1240-1246) 今回耐性が問題となった乳幼児への予防投与については不明ですが、少なくとも成人においては問題ないと 考えております。アメリカではすでにタミフルの予防投与が認可されておりこの耐性の問題についてもはっ きりとした報告があるものと思っております。 追加)なお、このガイドラインでこの件に触れたのは治療投与の場合のみで(p36 2行目C-2)、薬剤耐性 ウイルスの伝播の可能性を減らすために、「インフルエンザによる合併症の高リスクの人」と、「インフ ルエンザが確実もしくは疑いで治療のため抗ウイルス薬を投与されている患者もしくは職員」が、投与中 および投与終了後2日までは、接触することを許可しないこと (IB)。となっています。 このガイドラインではインフルエンザ患者はタミフル投与終了後2日すなわち7日間は感染のリスクがある と判断し、そのウイルスが耐性ウイルスである可能性も示唆しています。 学校への登校・職場への出勤8日目以降が望ましいようです。とくに新型の場合は厳守すべき事項と思えま す。 |
| 田中先生、詳細なご回答を有難うございます。 > ただ、新型インフルエンザが流行しパンデミックの状態となった場合考慮すべき方法と思われますので > 参考にすべき文献と思っております。 なるほど。確かにそのような事態では必要な措置でしょうね。 > アメリカではすでにタミフルの予防投与が認可されておりこの耐性の問題についてもはっ > きりとした報告があるものと思っております。 分かりました。 > このガイドラインではインフルエンザ患者はタミフル投与終了後2日すなわち7日間は感染のリスクがある > と判断し、そのウイルスが耐性ウイルスである可能性も示唆しています。 > 学校への登校・職場への出勤8日目以降が望ましいようです。とくに新型の場合は厳守すべき事項と思えます。 日本の現在の社会で、タミフルを投与して2-3日目で元気になった人を7日間出勤停止、あるいは登校停止させるのは 難しい気がします。でもパンデミックに近い状態になれば必要な措置となるでしょうね。 それとタミフルの投与期間についてですが、一律に5日間とすべきかどうかの検討は不要でしょうか? 今後、耐性が増えてくるようならば、使用法の制限も必要になるのでは? 如何でしょうか。 |
| > それとタミフルの投与期間についてですが、一律に5日間とすべきかどうかの検討は不要でしょうか? > 今後、耐性が増えてくるようならば、使用法の制限も必要になるのでは? 如何でしょうか。 何か返事を書こうと思いましたが、情報の量は少なく確信を持ったものは書けず断念します。 耐性の問題は4月6日東大医科学研究所の河岡義裕教授らの日本感染症学会で報告で明らかになったもので これからさらにいろいろな研究が行われることを期待します。 追記) 薬剤耐性ウイルスの伝播の可能性を減らすために、「インフルエンザによる合併症の高リスクの人」と、 「インフルエンザが確実もしくは疑いで治療のため抗ウイルス薬を投与されている患者もしくは職員」が、 投与中および投与終了後2日までは、接触することを許可しないこと (IB)。(p36 2行目C-2) が、問題となるのは老人介護施設・老人医療施設の職員と思われます。 できれば、投与開始7日間の入所者・患者への接触禁止でしょうが、人員の関係で困難ならこの期間もマス ク装着をしていただくことで管理したいと思っております。 |
| RSVやアデノウイルスなどの予防法をみているととても不可能に近いほど厳重ですね。これらの病気を問 診だけで予想するのは不可能に近く、検査してみてはじめてそうだと分かるケースばかりで、ガイドライン のようにはいきませんね。もちろんRSVは咳もあり感染力が強いため院内感染を感じることもあり、分か ったケースは隔離していますが、アデノウイルスは院内感染の伝播を経験しません。ガイドラインは理想で はありますが、現場では到底無理なところがあります。 |
| 田中先生貴重な情報ありがとうございます。 かなり厳重なガイドラインで、現実的にはなかなか 実行不可能な感じがします。特に日本国内ではいろ んな制約がありますので。 |
| 丸山先生・柳先生・木下先生・友清先生早速の返信ありがとうございます。 私が余り経験しない感染症も多くこのガイドラインを完全に理解せずまた、 自分自身が大部分の実行は困難と思いつつ投稿しました。 その理由は 1)感染予防とくに院内感染への患者・家族の意識の高まりがあるが、国内には院内感染に対応する ガイドラインが不十分なこと 2)これらのガイドラインは公開されており英語の堪能な非医療者(マスコミ)あるいは患者でも容易 にアクセス可能でマスコミ・患者から突然の問いかけの可能性もあること 3)ガイドラインの総ての実行は無理にしても少なからず参考になる項目が存在すること。 です。 十分な準備もせず投稿してしまい。申し訳ありません。 (私の能力では十分な準備をしても完全な理解は困難なようですが) |