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麻疹抗体価と麻疹発症の可能性
田中 泰之 2007/06/01 (金) 20:13 [No.1289]
返信(引用して返信)
医療機関での麻疹対応について(初版)ではEIA 法あるいはPA 法あるいは
中和法あるいはHI 法で麻疹抗体陰性と判明した場合には、ワクチン接種を
勧奨する(尚、PA 法で測定した場合は感度が高いため、陽性であっても、
1:16、1:32、1:64 等の低い抗体価であれば、ワクチン接種を勧奨:医療
従事者はハイリスクと考えられるため)。との記載があり
麻疹抗体検査HI法・EIA法・中和法では陽性であれば、PA法では1:128
以上であれば麻疹感染の心配はないと判断していました。しかしICDのMLで
異論があり調べたところ「医学部学生の麻疹抗体保有状況とその問題点」
ではEIA法で陽性とはいえ極めて低い抗体価(4.0以上8.0未満)しか持た
ない学生(10.0〜11.8%)のうち3名が初期臨床研修1年目に修飾麻疹を
発症したと報告されています。
これをSRLの情報からHI法に当てはめるとやはり極めて低い抗体価(8倍)
しかもたない症例の中に修飾麻疹発症の可能性がある症例が少数ながら
存在することになります。ワクチン補給がままならない現在の状況では修飾
麻疹の発病に気をつけ、EIA法のが再開されればEIA法による再検査ある
いはワクチン補給が再開されればこれらの抵抗体価の職員へのワクチン
接種を検討すべきと考えます。
医療機関での麻疹対応について(初版)(国立感染症研究所感染症情報センター)
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/mhosp-ver1.pdf
日本小児科学会雑誌 第109巻 第9号/平成17年9月1日p1102-1106
医学部学生の麻疹抗体保有状況とその問題点
http://www.jpeds.or.jp/journal/109-09.html#109091102
SRL 感染症検査統計情報サービス
EIA法の値(EIA価)は、他の方法例えばHI法の値(HI抗体価)とどのような
関係があるのでしょうか?
http://www.srl.info/srlinfo/90_virus/7-Q&;A/7-q&a.htm
| 医学部学生の麻疹抗体保有状況とその問題点 日本小児科学会雑誌 第109巻 第9号/平成17年9月1日p1102-1106 の全文を読みたいのですが、インターネット上では要旨しか読むことができません。 どなたかお持ちの方だいらっしゃいましたらコピーをいただけたら幸いです。 よろしくお願いいたします。 |
| 山下康博先生より日本小児科学会雑誌 第109巻 第9号/平成17年9月1日 p1102-1106の全文コピーいただきました。山下康博先生ありがとうざいます。 論文によれば修飾麻疹を発症した3人の麻疹IgG抗体価はそれぞれ4.5、5.3、4.0でした。 また考察で国際標準血清を用いたWHO国際単位への変換にて海外文献2つを 検討されLeeらの文献では発症例の抗体価で一番高かったのはEIA価に換算すると約9.8 Chenらの文献で発症例の抗体価で一番高かったのはEIA価に換算すると約5.7となっています。 慈恵医大のワクチン接種はIgG抗体価8.0未満で行われていますが、その理由として 修飾麻疹を発症した3名の抗体価が4.0〜5.3とカットオフの値近傍に限られていたことも考慮し 上二つの文献の中間にあたる8.0未満を今後適切な閾値を探ってゆくための暫定な基準として 用いたとされています。 ただ IgG抗体価の意義は、過去に麻疹罹患、またはワクチン接種の有無の判断には持ち得ますが、 その抗体価の値は免疫程度を直接意味していないとの考え方もあります。 (以下スイスのビリオン社の測定キットでの説明から) The presennce of IgG antibodies to meales virus is indicative of a contact with the virus, either through immunisation or by natural infection,at some point of time in the past. The amount of IgG antibodies is not directly correlated to the state of immunity. |
| 日本医事新報 No.4054 (2002年1月5日)141-142 質疑応答Q&A 正人の麻疹抗体低値とワクチン接種の必要性 [問] 40歳、男性、医療従事者。幼児期に麻疹に罹患しているとのことであるが、 麻疹抗体はHI法で8倍未満、EIA法でIgG分画陽性(Gindex8.9,基準値1.0未満) 免疫がある、つまりワクチンは不要であると判断してよいか。 [答] 結論を述べれば、麻疹ワクチンを接種すべきである。 麻疹抗体測定法として、中和抗体法、赤血球凝集抑制(HI)抗体法、ゼラチン粒子 凝集(PA)法、酵素抗体(EIA)法などがある。いずれの検査法も麻疹診断決定のため には有用であり、HI法は簡便さゆえに、またEIA法はIgG抗体とIgM抗体を分けて測定 できるために、臨床現場での利用頻度が高いと思われる。 しかし、これらの検査法で抗体陽性であることと、ある人が麻疹ウイルスに感染しても 発病を阻止する免疫力を有していることとは必ずしも同じではない。中和抗体法とHI 抗体法は麻疹ウイルスの感染阻止に関与する抗体を測定していると考えられるが、 PA法では感染防御に直接関係しない抗原に対する抗体も一緒に測定しているため、 PA法とEIA法で測定される抗体価は感染防御能を必ずしも反映していないからである。 したがって、EIA-IgG法で陽性であっても、HI抗体が陰性であれば、麻疹ウイルスに 感染した場合、発病を阻止できない可能性があると考えるべきでである。 |
| 筆者は毎年病院に採用された研修医の麻疹HI抗体を測定し、HI抗体を測定し、 HI抗体価が8倍であった研修医が「麻疹に罹ったことがある」と主張したためワクチンを 接種しなかったところ、翌年その研修医が麻疹患者と接触後麻疹を発症したという 苦い経験を有している。抗原に変化がないといわれていた麻疹ワクチンにも少しずつ 抗原の変化は生じている。近年の麻疹ウイルス流行株はサル赤血球に対する赤血球 凝集活性を失っているため、流行株を用いたHI抗体測定は不可能である。 また、中和抗体もワクチン株(あるいはワクチン株に高原的に類似した以前の流行 ウイルス株)で測定した抗体価と最近の流行株を用いて測定した値では、後者の ほうが1〜2管低い抗体価になる、つまり抗体価が二分の一から四分の一になる といわれている。また、現在の中和抗体の測定には、技術的な理由から以前の流 行株が用いられている。したがって、中和抗体価が四倍以上あっても麻疹発症を 抑えられない可能性もある。一方、現行のHI抗体法は感度が低いために、HI抗体 が8倍以下の者の中にも16倍以上の中和抗体を有する者が含まれていることがある。 麻疹中和抗体陽性の人に麻疹ワクチンを接種しても特段の副反応はなく、中和 抗体が低い場合には追加免疫効果も期待できる。したがって「HI抗体価8倍以下」 を基準にして麻疹ワクチンを接種してよいと考える。 麻疹ワクチン接種回数について述べれば、日本では12ヶ月〜90ヶ月の間に1回 接種することと定められているが、海外の多くの国々では麻疹・風疹・おたふくかぜ 三種混合ワクチン(MMR)として2〜3回の接種が行われている。2〜3回目の麻疹 ワクチン接種は、全快のワクチン接種で抗体が上昇しなかった者を救済する目的も あるが、主に減衰した麻疹ワクチンによる免疫を強化するための追加接種として 行われる。なお、諸外国から二回目、三回目の麻疹ワクチン接種により重大な 副反応があったという報告はされていない。 都立駒込病院 小児科医長 高山 直秀 |