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タミフル耐性株出現
田中泰之 2009/01/21 (水) 08:53 [No.1492] 返信(引用して返信)
久留米市の開業医の先生より下記メールをいただいています
当方もタミフル耐性かなと思える症例を1例だけですが、経験しています。
以下転記
当院はインフルエンザ定点で,ウイルス分離の定点でもあります.
1/20報告で,県の保健科学研究所ウイルス課より連絡があり,
当院で19歳女子からの検出ウイルスはタミフル耐性H1N1(ソ連)株でしたと報告ありました.
タミフル出しても効果がないインフルエンザがある時は耐性株かもしれません.
| 田中先生、いつも貴重な情報をありがとうございます。 インフルエンザウイルスのタミフル耐性について、よろしければ教えていただきたいと 思いますので、投稿させて頂きます。 小生は、インフルエンザウイルスの薬剤耐性について、細菌などと違い、薬剤を使 用(乱用?)して、ウイルスが耐性を獲得するのではなく、遺伝子変異によりその薬 剤に耐性を持ったウイルスが出現し、薬剤が効かないので流行する(しやすくなる)、 と理解しておりました。 本日、新聞報道などでタミフル耐性を知った数人の患者さんから、タミフルを使用 しすぎたから耐性ウイルスが出現したのではないか?、と質問され、前述のように返 答しましたが、よろしいのでしょうか? ご教示いただければ幸いです。 |
| 国立感染症研究所感染症情報センター <速報> 2008/09インフルエンザ シーズンにおけるインフルエンザ(A/H1N1)オセルタミビル耐性株(H275Y*)の 国内発生状況 [第1報] http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3483.html によれば、 今回の抗インフルエンザ薬オセルタミビルに対して耐性となったA/H1N1亜型 インフルエンザウイルスは2007年11月ごろより北欧諸国を中心に高頻度に報 告されその後、この耐性ウイルスは北半球諸国へと拡大し、昨年の南半球の 流行シーズンでは、この耐性ウイルスがA/H1N1ウイルスのほとんどを占めてい たとのことです。 耐性株の大半はオセルタミビルが使用されていない地域で発生しており、ま たオセルタミビルを服用していない患者から分離されているので、タミフルの使 用によって耐性ウイルスが選択されて流行しているわけではない。と断言され ています。国内外でで現在流行しているオセルタミビル耐性A/H1N1は北欧 諸国で発生した株に近く、昨シーズン日本でのオセルタミビル耐性A/H1N1 株の流行状況調査で1,734株中45株、頻度は2.6%であったことを考えると 海外から耐性ウイルスが入ってきたと考えるのが妥当で出日本がタミフルを使 用しすぎたからというのは明らかに間違いと考えます。 |
| 田中先生、ご教示どうもありがとうございました。 大変参考になりました。 今後ともよろしくお願いします。 |
| 参考になります。 報道に問題あり。 |
| 確かに、「耐性」という言い方が誤解を招きそうです。人によっては「低感受性」と 言っている人もいるようです。今回のソ連型は田中先生からしめされましたように、 2007年のタミフルを使っていないノルウェーでの発生と同じウイルスのようで、その ためにタミフルの影響を受けない新種との見方がなされているようですが、はたして、 その新種はなぜどうして生まれたのでしょうか。突然変異という説が有力のようです が、今のところ、タミフルが全く無関係だという、はっきりとしたデータもないと私は理 解していました。どなたかご教授いただければ幸いです。 |
| タミフル耐性株は、東大医科学研究所らのグループが、02〜03年の流行に際して 約2割の子どもで見つかったこと報告していますが、タミフルの服用前後で18%に当 たる9人に遺伝子変異が証明されました。また、地方衛生研究所から国立感染症 研究所へ提出されたインフルエンザウイルスのタミフル感受性についてのスクリーニング 調査では、2003/04年シーズンA/H3N2型1,180株中3株が耐性(E119V変異2株、 R292K変異1株)を示しました。2004/05年シーズン252株のうち、1株が耐性(D197 N変異)を示しました。これらはいずれも薬剤に暴露されることによる選択圧によって顕 在化したもので通常の株よりも感染力弱く自然消滅します。ところが、日本でも2005 /06年シーズンA/H1N1型178株中4株が耐性(ノイラミニダーゼH274Y変異)を示し ました。この耐性株は2007/08年シーズンになると世界的に高頻度で検出されるよう になりました。高頻度で検出されている国の中にはほとんどタミフルを使用していない国 も含まれていること、通常の株と同等の感染力を有していることより自然発生的に起こ った突然変異がたまたまタミフルが作用する部分であったということのようです。そのため、 世界的に高頻度で検出されるようになったと考えられます。逆に考えるとタミフルが効か ない症例は出てくるけれども、タミフルの使用を制限しないとこの耐性株が増加すると いうことにはならないということだと思います。 |
| 白石先生、大変良く分かりました。今のところは、タミフルやリレンザの使用が増えれば仮に 耐性ができても、それが大流行することはないということですね。来年以降はすべてオーケー だったり、リレンザがだめだったり、やはりタミフルがだめだったり、どちらもだめだったりといういろ いろな可能性があるということになりますね。どちらにせよ、5歳未満のリレンザのエアゾルの 開発を是非すすめていただきたいものです。また、現在、治験中の抗インフルエンザ薬の認 可が早くおりてほしいものです。ありがとうございました。 |