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1歳6ヶ月健診のポイント

1.健診の意義        meaning

1歳6ヶ月は上手に歩けることや手が器用になる事など運動面と意味ある単語を話せるという精神発達の面から発達の遅れをチェックできる重要な年齢です。又視覚や聴覚の異常の早期発見、行動や性格の問題、社会性の問題、生活習慣の自立、う歯の予防など最初に指導が行なう良い時期です。


2.健診のすすめかた    method

A.発育をみる
身体計測値・発育曲線・幼児身長体重曲線を母子手帳に全て記載します。
身長:97パーセンタイル以上又は3パーセンタイル以下の時、発育曲線とのずれが大きい時は3歳児健診で再評価または精密検査
体重:ふとりすぎ・やせすぎでは食事状況(離乳の経過、偏食、少食など育児 環境を聞いて指導し、経過を追います。(特にやせすぎでは体重の変化や虐待に注意します)
頭囲:97パーセンタイル以上、3パーセンタイル以下の時は、精密検査または経過観察します。

B.発達をみる

(1)粗大運動をみる
  アンケートに目を通し特に問題がないか前もって確認します。まずパンツのみで歩かせて診察室に入らせます。この時歩行の状態を観察します。うでが下がって、ある程度上下肢の協調運動がみられて10m以上転ばずに歩ければ順調な発達といえます(low guard歩行)。腕が高い状態で屈曲挙上して転びやすい状態では、まだ歩行は完成されたといえず、1〜1歳2ヶ月の発達の状態に相当します(high guard歩行)。このような子はしばらく経過を観察する必要があります。歩行不能は異常です。Shuffling babyの場合でその他発達の遅れがない場合は、1歳6ヶ月で歩行不能でも2歳前までに歩行可能になる可能性がありますが、念のため専門医を紹介したほうが良いでしょう。

(2)微細運動をみる
  なぐり書きができるか、積み木を2個積めるか、小さなものを指先でつまめるか、などアンケートも参考にします。

(3)発語(発音、理解)をみる
  親の膝の上に座らせ、検者から「こんにちは」といってその反応をみます。「わんわん(犬)」「ブーブー(自動車)」など意味のある発語が数語言えるか(言える言葉をあげさせる)、欲しい物や関心のあるものを指差せるか「ティッシュをもってきて」「ゴミ箱にポイして」などの指示がわかるか確認します。 全く反応がない場合や意味ある単語を全く話さない場合は知能発達・聴覚などに注意する必要があります。

(4)社会性(対人関係、基本的習慣)をみる
  周囲の人や他の子供たちに関心を示すか、簡単な手伝い(親の真似)ができるか確認します。情緒・行動については、家庭環境、育児態度などを考慮に入れます。視線が合いにくい、人への関心を示さないなどの兆候が見られる場合は自閉症などの可能性もありますので経過をみる必要があります。

C.視診、聴診、触診
視診:貧血、湿疹、アトピー性皮膚炎、斜視、O脚・X脚(開きが3横指以上は異常)などを観察し必要があればかかりつけ医か専門医に紹介します。
聴診:心雑音、呼吸音の異常がないかを聴き取ります。
触診:大泉門閉鎖がなければ頭囲を確認します。肝脾腫や腹部腫瘤をみます。 そけいヘルニアや停留精巣・睾丸が見られた場合には小児外科医に紹介します。陰嚢水腫は自然治癒することが多いので次の3歳児健診まで様子をみます。包茎は感染をくりかえしたり、おしっこの時に風船のようにふくらんだりする場合は、かかりつけ医か専門医に紹介しますが、そうでない場合は亀頭部がみえなくても3歳児健診まで経過をみても良いでしょう。

D.視覚・聴覚をみる
ペンライトで眼球運動をみます。約40cm程の距離から、光を左右、上下、前後に移動させて眼球の動きを見てください。動きが悪いのは知能発達の遅れの可能性があります。明らかな斜視の場合は紹介します。聴覚は聞こえているかどうか、母親が疑問を持っているような場合には、かかりつけ医か専門医へ紹介した方がよいでしょう。

   図で見る発達段階(歩行機能、微細運動)

ハイガード歩行
(1歳1ヶ月頃)
転びやすい
ローガード歩行
(1歳6ヶ月頃)
なぐり書き
(持ち方は自由)
積み木を積む
(小さなものを指先でつまむ)

 

お母さんの質問に答えるQ&A

(1) 言葉が遅い
  言葉の遅れる原因として脳性麻痺、精神発達遅滞、聴力障害、情緒障害などが考えられますが、最も多いのは生理的な言葉の遅れです。これは、言葉以外の発達は正常で、脳障害の既往もなく、神経学的診察や一般小児科的診察でも異常なく、聴力も正常で、言葉の遅れはあっても、こちらの言うことは理解している場合をいいます。

(2) 歩き方がおかしい、歩かない
  歩行開始は1歳2ヶ月位が多いが、生後10ヶ月から18ヶ月と幅が広いようです。この時期には歩き方は正常でもおぼつかない場合もあります。正常児で歩行が遅れるのは、いざりっこ(shuffling baby)がありますが、1歳半をすぎても歩かない場合は、念のため専門医に診てもらった方が良いでしょう。歩き方がおかしい場合は、股関節脱臼がないか足の長さの左右差などを十分確認します。今まで普通に歩いていたのが、歩き方がおかしくなった場合はかかりつけ医か専門医に紹介します。

(3) おむつがとれない
  排尿の発達には個人差が大きく、他の発達が正常で器質的が考えられない場合はあせらず、じっくり待つことをお母さんに伝えます。

(4) 指しゃぶりをする
  感覚のうちで最初に働くのは触覚で、このうち口唇よりの刺激が一番最初に機能するといわれています。なんでも口にもっていくのはそのためです。指しゃぶりそのものは乳児にとって決して悪い事ではなく、情緒、精神安定をもたらしているものです。指しゃぶりは歯のかみ合わせなどに影響を及ぼすことも考えられますが、乳歯ですしあまり神経質になることはないでしょう。そのうち時期が来たら自然に消失してゆくものです。

(5) 夜泣き
  夜泣きに対するこれといった良策は、残念ながらありません。日ごろから、お子さんをしっかり抱きしめてあげたり、よく遊んであげたり、お子さんの欲求が満たされているのかどうかお父さんと一緒に考えてあげることが大切です。その上で、睡眠が1日を通して十分であり、昼間元気良く遊んだりして日常の生活に問題がなければ、夜泣きにばかり心を奪われる必要はありません。そのうちきっと良くなります。

(6) 頭がいびつである
  ほとんどのお子さんが大なり小なり頭は多少いびつです。斜頚や脳性麻痺で一定の姿勢をとる事しかできないお子さんは別として、自然に気にならなくなっていくものですのであまり心配いりません。

(7) 体重が増えない
  まずは出生時からの体重の推移を検討する必要があります。要するに小さめでも大きめでも、発育曲線に沿って伸びていれば心配ありません。ある時から体重の伸びが悪くなったり、3パーセンタイル以下の場合は注意が必要です。体重増加不良の原因はさまざまですが、まず食事の内容や量を検討することです。食事が十分摂取できているにもかかわらず、体重が増加しない場合には、消化吸収障害、内分泌疾患、慢性感染症、代謝異常疾患、尿細管性アシドーシスなどが考えられ、専門医への紹介が必要です。

(8) 背が低い
  発育曲線にそって出生時から身長がそれなりに増加していればあまり心配ありません。ある時から身長の伸びが悪くなったり、3パーセンタイル以下の場合は低身長が考えられますので、専門医に紹介する必要があります。

(9) おっぱいがとれない
  1歳半ともなれば母乳による栄養の意味はもうないといってよいでしょう。しかしあくまでこれはスキンシップ。お母さんとの愛情を確認しているのです。だいたい2歳くらいまでには自然に本人から止めてしまうことがおおいですが、おねだりするようならいつまでも続けてあげてください。そのうちに自分から卒業してしまいます。

 

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