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3歳児健診のポイント

1.健診の意義        meaning

3歳は心身ともに顕著な発達を示す時期です。運動機能では神経系の発達にともない、体をうまくコントロールして細やかな動きが可能となり、知的発達では言語発達がめざましく、ものごとの理解、生活習慣の習得が進み、社会性も発達します。また、正常の範囲内でも発達の遅い子、早い子、あるいはやせた子、肥満の子などの個人差が大きくなり、母親に対する適切な指導も必要となります。さらに、1歳6ヶ月健診までに発見できなかった軽度あるいは境界領域の発達や発育の遅れ、視聴覚異常などを見い出し、適切な事後指導ルートにのせることが必要です。


2.健診のすすめかた    method

A.発育をみる
乳児期のぽっちゃりした体型から、やや細身になり成人型に近づきます。出生時よりみられた下肢の生理的O脚も消失し、むしろ生理的X脚の状態になり、土踏まずが完成されます。 
身長:3パーセンタイル以下(とくに8.8cm以下、1歳半健診からの伸びが7cm以下の場合)では低身長を疑い、かかりつけ医にフォローしてもらうか、精密検査ができる病院を紹介します。
体重:肥満度+15%(男児16.2kg、女児15.7kg)以上で単純性肥満の場合は生活指導が必要で、−20%(男児11.3kg、女児10.9kg)以下のやせは精密検査が必要です。やせすぎの場合は虐待なども考慮します。
頭囲:97パーセンタイル以上、3パーセンタイル以下は精密検査が必要です。

B.視診、聴診・触診

(1)歩行と全身の観察
  パンツだけの裸で歩かせ、椅子に自分で座らせます。この年齢で歩行がふらつくのは異常です。まず目線が合う事を確認します。全く合わない時や、座らずに落ち着かず、動き回るときは、自閉症や注意欠陥多動障害等を念頭において、以後の診察をすすめますが、多動だけの場合は正常の3歳児にもみられることを念頭において以後の診察をすすめます。次に名前と年令を聞きます。その答え方で言語発達のほか構音障害、視力・聴力の異常などの有無を知ることができます。さらに体型、形態異常、皮膚(アトピー性皮膚炎等)、脊柱などをよく観察します。また、皮膚に不自然な外傷跡や身体発育停滞があれば、虐待を考えます。

(2)聴診
  心雑音、不整脈、呼吸音の異常を聴き取ります。

(3)視診および触診
  頭部、頸部:大泉門は閉じているか、特徴的な顔貌、扁桃肥大、斜視、眼瞼下垂、リンパ節腫脹等の有無をみます。
腹部:腹部腫瘤、肝脾腫、臍ヘルニア、そけいヘルニアの有無をみます。これらは専門医への紹介が必要です。
外陰部:停留睾丸、包茎の有無をみます。手で軽くむいて、亀頭がまったく見えない場合は真性包茎の可能性があります。とくに今までに亀頭包皮炎を繰り返すものや、おしっこの時に風船のようにふくらむ場合も手術の適応を考えます。また埋没陰茎が強い場合も念のため専門医への紹介が必要でしょう。

(4)四肢の観察
  X脚、O脚、反張膝、内反足、尖足等の有無をみます。出生時より2歳頃までは生理的O脚がみられ、3歳児になると生理的X脚になります。その後5〜6歳までに自然に矯正されます。O脚は両足関節内側を合わせ、膝の間が、X脚では両膝を合わせ、両足関節内側が3横指以上あくようであれば整形外科を紹介します。


O脚・X脚の診断   O脚・X脚の診断法

(2歳以後)立ったときの状態で
両下肢伸展位で大腿骨内顆または脛骨内顆間の距離を計測する
 2横指以下 ― 経過観察する
 3横指以下 ― 矯正靴が必要

a:O脚,内顆部の距離を測る         b:X脚,内顆部の距離を測る

C.発達をみる
以下の項目は、アンケートによって判断可能ですのでアンケートの回答を参考にしてください。

(1)やらせてみる
  粗大運動  30cmの高さから両足で飛び降りることができる。
微細運動  積み木を4個以上積める。○を書かせる。
判定:明らかな運動発達の遅れがある場合は専門医を紹介します。

(2)話してみて、意志が通じるか、また視線が合うことを確認する(自閉症チェック)
  『おとしは?』『おなまえは?』または絵本を使って『これなあに?』『どっちが大きい?』など聞きながら、3語文以上話せるか、意志の疎通があるか確認します。
判定:2語文が話せる程度であれば、かかりつけ医で経過観察してもらいます。2語文も話せないようであれば専門医を紹介します。

(3)生活習慣の発達をみる
  ひとりでくつやパンツがはけるか?自分で手を洗えるか?
判定:できなくても生活指導や経過観察をします。

(4)社会性、情緒、行動上の発達をみる
  ともだちとあそべるか、順番をまてるか、おちつきがないか乱暴であるか。
判定:表情が乏しく遊ばない、問題行動をいくつか併せ持つ場合は保健指導をして経過をみるか、気になる場合は専門医を紹介する。

(5)子どもとの関係をみる
  育児は楽しいですか?お子さんとよく遊んでますか?良くケガをするか?
判定:保護者の心身状態も観察し問題があればサポートします。また、事故防止の啓発につとめます。

(6)視覚検査の判定
  健診では、家庭で4枚の絵(蝶、魚、鳥、花)を用いて視力検査を行ってあります。絵が左右とも3つ以上読めたら異常ありません。絵が左右とも2つ以下しか読めない子の場合は精密検査とします。 また、片眼が3つ以上読めて、他方が2つ以下しか読めない場合も要精密検査とします。

(7)聴覚検査の判定
  2歳を過ぎた頃には、成人に近い聴力になります。3歳児健診では、中等度以上の聴力障害や、滲出性中耳炎による難聴を発見し、早期治療が開始できることを目的とします。アンケートで問題がある場合には専門医に紹介します。

 

お母さんの質問に答えるQ&A

(1) 予防接種を受け忘れているのですが?
  多少遅くなっても、必要な予防接種を必要な回数受けることが重要です。詳しくは、保健師さんか、かかりつけ医へお聞き下さい。

(2) 便秘で便が出にくいんですけど?
  食事摂取量が少なかったり、繊維質が少なかったりすると、便秘になります。 また、排便を繰り返し我慢すると便秘になります。繊維質の多い食事や水分を多めにとり、排便を我慢させない様にし、便意がなくても決まった時間にトイレに行くようにしましょう。

(3) 少し落ち着きがない様ですが?
  3歳児では、ある程度の多動(あるいは落ち着きのなさ)は、正常発達の過程で誰にでも認められる事であります。かんしゃくをおこし八つ当たりしたりする行動は、3歳頃にそのピークで、その後減少します。精神発達遅延や知能障害がなければ、子供の言う事をよく聞き、よく観察し様子を見ましょう。

(4) 包茎
  この時期が包茎の最終チェックになります。亀頭部をむこうとしても、少しも見えない場合や、包皮炎をくり返している場合、おしっこのときに風船のようにふくらむ場合などは小児外科に紹介します。

(5) 恥こう
  包皮と亀頭の間に白いかたまりが診られる場合があります。これは、恥こうといいます。感染をくり返さなければ、そのまま放置してもかまいません。

 

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