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4ヶ月健診のポイント

 

1.健診の意義        meaning

4ヶ月健診には2つの大きな意義があります。その1つは、運動発達面での重要なKey monthであること、もう1つは、母親の育児不安を察知し育児支援をサポートする大切な時期であることです。運動発達面では特に、首がすわり、はっきりと目で追うこと(追視)ができ、あやすと声を出して笑うようになります。したがって、これらの1つでも達成していなければ、要注意です。育児不安の母親によって育てられれば、児の身体の発育や心の健全な発達にも影響を及ぼします。最悪な場合は育児に疲れ果て、ついには『この子さえいなくなれば』と虐待に走るケースも出てきます。母親の態度や言動に注意し、育児不安の兆候が見られれば積極的な支援を考慮する必要があります。


2.健診のすすめかた   method

A.発育をみる
まず、体重、身長、頭囲が発育曲線に沿っているかどうかをみます。この時期お母さんたちにとって母乳が足りているのかどうかという心配が大変多く見られます。もし、発育曲線に沿って体重、身長、頭囲が順調に伸びていれば、心配はいりません。曲線の下の方にあっても生まれたときも下の方であれば伸びは良いことになります。急激に伸びている場合は、ミルクを足しすぎていないか、飲ませすぎて吐いていないかなど確認します。逆に体重の伸びが悪い場合は、まず母乳が足りているのかが問題となります。母乳が不足しているようであれば、保健師さんと相談しながらミルクを足すことを勧めます。また、その場合2週間から1ヶ月後に体重測定をして経過をみます。それでも発育が悪い場合や発達にも問題がある場合には専門医への紹介が必要と思われますが、かかりつけ医がいればまずそこで診てもらってからでも良いでしょう。頭囲に関しても経過観察が必要で、急激な伸びや発育不良の場合は専門医に紹介する必要がありますが、かかりつけ医がいればまずそこで診てもらうのも良いでしょう。

B.聴診、視診・触診
(1)聴診
  心雑音、呼吸音などをききとります。

(2)視診と触診(上半身)
  手と目の動きは、頭部→顔→頸部→腹部へと移動させていきます。
a.
頭部:赤ちゃんを横にしたまま、まず頭から触り、大泉門の確認、頭部のでっぱりや、くぼみ頭皮の様子を観察します。
b.
顔:追視するかどうか観察しながら、頸部の斜頚を確認。また、副耳や先天性耳婁孔などの小奇形を確認。眼瞼結膜の貧血を確認します。
c.
頭部、首、体の皮膚の全体的な観察。皮膚の状態、血管種、臍ヘルニアの有無の確認をします。
d.
腹部の触診をして、膨満、肝脾腫、臍ヘルニアなどがないか診ます。

(3)視診と触診(下半身)
  おむつをとり、ソケイ部、陰部、股関節に注意しながら触診、観察します。
股関節脱臼を見逃さないために、開排制限だけでなく、大腿部のしわの数に左右差がないかみます。開排制限がなくても、しわの数に左右差があれば、足の長さに左右差がないか確認しておきます。
女児:陰部の汚れや、陰唇癒着(明らかであれば産婦人科紹介)を診ます。
男児:陰のう水腫、停留睾丸、包茎(この時期に亀頭部が見えなくても良いが、おしっこのときに、風船のようにふくらんでおしっこが出にくいようであれば異常)を診ます。

C.発達をみる
  引き起こし反射→座位の姿勢→モロー反射→垂直抱き→水平抱き

(1)引き起こし反射
:首の座りや筋の緊張状態をみる検査
  検者の拇指を赤ちゃんの手掌ににぎらせ、検者の残りの指で赤ちゃんの手背から手首のあたりを握りゆっくりと引き上げてゆきます。 正常:頭と体幹が一直線となり、肘関節を曲げようとする。床から45度の角度まで引き起こしたときに頭部が後ろに落ちなければ正常です。 異常:60度まで引き起こしても頭が前屈せず、後屈したままであったり、肘関節が伸びきって引き寄せようとしない場合は注意して経過をみます。

(2)首座りの確認
:座位になったとき、前後に首をゆすって首のすわりをみます。
  正常:ゆすっても立ち直ろうとするようであれば正常です。
異常:できない場合は、経過をみます。

(3)座位の姿勢
:腰を支えると座ることが出来ることをみます。
  異常:首がふらついたり、頭を後屈させるときは注意して経過をみます。

(4)モロー反射
:座らせた位置から頭部を後ろに倒して両手を広げるかどうかをみます。
  異常:明らかなモロー反射は、経過をみる必要があります。

(5)垂直抱きの姿勢
  正常:膝関節を軽く曲げていることが多くみられます。
異常:足をつっぱり、尖足位である場合は、注意して経過をみます。

(6)水平抱きの姿勢(ランドー反射)
:体を水平に抱き上げ姿勢をみます。
  正常:頭を上げ、体幹はのばしている状態になります。
異常:あまりに体を反らしたり、逆にだらんとしてしまう場合は、注意して経過をみます。
 
以上の検査で正常と断定できない場合は、1〜2ヶ月フォローしてみます。それでも発達の改善が見られない場合は専門医に紹介したほうが良いでしょう。

D.育児に問題がありそうなお母さんに対して
育児不安は産後1ヶ月後が高頻度といわれています。特に第1子に不安が強く、初産婦の1ヶ月から4ヶ月までの健診で、母親の育児感情に十分配慮した健診が必要となります。特に産後の育児不安をもつ母親に対し、健診の第一線で活躍する医師や関係者はその予防や適切な対応について知識を深めることは、母親およびその子の健全な育成の上で極めて重要です。

(A)アンケートと母親の観察
  まず、健診の際のアンケート、母親の態度や言動に注意する必要があります。
@
医師の診察中に母親が関心を示さず、座ったままでいる。
A
祖母に児を抱かせて、母親は任せきった態度で側に立ったままでいる。
B
不安で胸がいっぱいで育児にかまいすぎる。
C
批判的で、母と子の愛着行動(アタッチメント)の形成に問題がある可能性がある。

(B)支援の実際
  育児不安に対しては、ゆっくりと時間をかけて母親が心を開き何でも話せるような状況を作ることが大切です。そして苦しんでいる母親に対して、説教口調ではなく、やさしく、同情と受容の心を持って、育児に自信を持たせて暖かくサポートすることを心がけます。この際、とくに、父親の育児に対する理解と協力が得られるようにすることも大切です。また育児不安に悩む母親同士の交流の場を持たせることも考えてあげます。 母と子の愛着行動の形成に問題がありそうな場合には、児をしっかりと抱きしめ、見つめ合いながら優しく声をかけてあげることの大切さ、そして乳を飲ませる、おむつを変えるなど、児の不快な状態をすぐに察して、快適な状態にしてあげることが、母と子の絆を深め、児の今後の豊かな心の発達のために必要であることを話します。

お母さんの質問に答えるQ&A

(1) 2ヶ月頃から便の出が悪くなったが、便秘ですか?
  赤ちゃんの場合、1ヶ月を過ぎると、便の出が悪くなります。これは、生理的現象と考えてよく、4〜5日に1回でも軟らかい便が出れば便秘ではありません。機嫌が悪い時は、おなかをさすったり綿棒浣腸で様子をみても良いでしょう。機嫌が良ければ1週間くらい放っておいてもかまいません。

(2) 最近、よく吐くようになりましたが、大丈夫でしょうか。
  まず、体重の伸びをみて、順調であれば、飲み過ぎで吐いていたり、生理的なものと考えて良いでしょう。体重の増加が悪い場合で噴水様のおう吐の場合、幽門狭窄症を考え、専門医に紹介します。だらっと吐く場合は、ゲップの出し方、飲んだ後はすぐに横にしない、などの指導をして1〜2週間ほど経過をみます。

(3) いつも同じ方向を向いて寝ていますが大丈夫ですか?
  斜頚がなければ、頭の形がそちらに向きやすくなっているのでしょう。首が据わり、座った生活がふえてくれば、だんだん頭の形は目立たなくなりますが、頭がへこんでいる方を壁側にしておくのも良いでしょう。

(4) 赤ちゃんの皮膚
  (A)湿疹について
皮膚のかさかさ:ほっぺや口のまわりの皮膚がかさかさして赤くなったりしている場合、いきなり、『アトピー性皮膚炎でしょうね』と言い切ってしまうのはどうかと思います。まず、乳児性の湿疹がほとんどですので、スキンケアを十分するように伝えます。まず良く石鹸で洗うこと、赤くなっているところほど念入りに洗うように指導します。そして、薬局で売っているような、ベビーローションや保湿クリームでしばらく様子をみます。
頭のかさぶた:オリーブ油をつけて、30分ほどふやかした後に、石鹸ではなく、シャンプーで良く洗います。その後ベビーローションなどをぬります。
以上のようにしても、治りが悪かったり悪化するようでしたら、病院を受診するように勧めます。
  (B)アザについて
正中部母斑(サーモンパッチ):おでこやまぶたの薄い赤アザは1〜2年で消えます。うなじのところの赤アザ(ウンナ母斑)は、もっと時間がかかりますが、だんだん目立たなくなってきます。
単純性血管腫:正中部やまぶた以外の赤アザは、自然に消えることはあまりなく、レーザーなどの治療が有効な場合があります。
苺状血管腫:小学生頃までにはよくなりますが、あまり大きい場合はその部分の皮膚がたるみを残す場合があります。早期のレーザー治療が有効な場合があります。
蒙古斑と異所性蒙古斑:蒙古斑はお尻や背中にみられますが、小学生までには自然に治ってしまいます。しかし、うでや肩に少し濃く見られるものは、異所性蒙古斑といい大人になっても残る可能性があります。

(5) そけいヘルニア、臍ヘルニア、陰のう水腫、停留睾丸、包茎はどうしたら良いですか。
  両ヘルニアや陰のう水腫は、1歳までに自然治癒することが多いのですが、それ以上続くようであれば、一度小児外科医に紹介します。停留睾丸は、移動性睾丸で陰のうまで引き寄せられる場合は、そのまま放置しますが、陰のうの中に降りてこない場合は1歳頃までに、小児外科医に紹介します。包茎は、亀頭部が見えなくても異常ではありません。この時期にもし、おしっこのとき、風船のようにふくらんでおしっこが出にくいようなら小児外科医に紹介します。

(6) 抱きぐせ、夜泣き、おしゃぶりについて
  これらは自然に良くなるのを待ってあげてください。

(7) 夕暮れ泣き(コリック)
  毎日、夕飯の支度にとりかかる頃、どうあやしても力一杯泣くことがあります。生後3ヶ月ころまでが多く、コリックといいます。原因ははっきりしていませんが、抱いて外を散歩したり、ドライブに連れて行ったりしてあげてください。しばらくのしんぼうです。

(8) 小奇形について
  副耳:1歳から外科的手術の対象となりますが、希望があれば形成外科などを紹介してあげてください。
先天性耳ろう孔:耳介上方前方部に穴がみられますが、たびたび化膿するようであれば手術の適応があります。

(9) うつぶせ寝はどうでしょう?
  4ヶ月頃になると、早い子はいつのまにかうつぶせ寝でねていることがあります。うつぶせ寝が突然死の原因のひとつといわれているので心配でしょうが、もう自分で首を動かすことできますので大丈夫です。ただし、ふかふかのふとんの上に寝せるのは避けましょう。

(10) 逆まつげ
  赤ちゃんのまつげが目にべったりとくっついているのをよくみます。ひどい目やにが出る場合は目薬を使うこともありますが、大抵は自然に治ってしまいます。

(11) いつも涙目なのですが‥
  いつも涙目だったり、目やにがつづくようであれば、目と鼻をつなぐ管(鼻涙管)というところが一時的に狭くなったり、閉塞している場合が考えられるますので、一度眼科の先生に診てもらった方が良いでしょう。

 

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