医事紛争予防のために医師が注意すべき事項

無診療投薬

「無診療投薬」の件で会員の皆様から出された事例などを再度、鶴田弁護士に質問しました。質問とその回答を以下に示します。

〈ケース1〉
「鶴田先生は先日の講演会で、『無診療投薬についてはあまり心配しなくて良い。』と言われたから無診療投薬をしてもあまり気にしなくてもよいのではないか。」と言う方がおられますので、私は「それはあくまで医師が患者の状態を充分に把握しているという条件付きです。『県医師会の専務理事は月に1回の診療をしておればまず大丈夫だろう。』と言ってありますのでこれを目安にして下さい。」と説明していますが、これで宜しいでしょうか。
(鶴田弁護士の回答)
当職がお話したのは、医療事故訴訟の中で、無診療投薬の点を攻撃されることがあるが、患者の状態の把握に間違いがなければ、無診療投薬のみで賠償責任を求められることはない(一般論)ということです。保険取扱上は「違法」であることは当然の前提です。月に一回というのも「何年も診ていて病状に変化の無い患者であれば」との前提が必要だと思います。

〈ケース2〉
某科の先生で「患者か家族が来院した場合、当科においては無診療投薬は問題になることではなく、本人より家族が来院することがむしろ当科では多い。」と言われる方がおられます。どの科においても月に1回の診察は必要と思いますがいかがでしょうか?
(鶴田弁護士の回答)
どの科においても無診療投薬は決して良いとは言えません。患者の病状に変化がないことを実際に医師が診察して確認する機会の無いまま投薬が継続されている状態は危険だと思います。

以上、ご連絡致します。 無診療投薬が違法であることは、医師法第20条(「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方箋を交付してはならない。」)により明らかであります。これまで何事も無かったからこれからも大丈夫ということは全くありません。 無診療投薬に限らず、これまで我々が当然のように行ってきた診療に関わる行為の中に、違法なものがないかどうかをもう一度見直す必要があるようです。今後とも本件については情報があれば逐次をご連絡致しますが、会員の皆様も充分な関心を持って頂きます様お願い致します。 2000/11/1 担当理事 柳 純二