鶴田弁護士講演要旨メモ
(2002/2/14県医師会診療情報担当理事者会にて)
                                              担当理事 柳 純二

・ 毎年約1万件の医事紛争があり、そのうちから約700件の訴訟あり。
・ 現在は毎年1500人の司法試験合格者があるが、ここ数年のうちに3000人に増える予定。このうちの殆どが弁護士となり、弁護士が増えると訴訟件数も増えることが予想される。
・ 訴訟の事例の内容としては、以前は具体的なもの(例えば「手術時のガーゼを腹腔内に置き忘れた。」など)が多かったが、近頃は抽象的なもの(例えば「もっと良い治療法があったのではないか。」「医師の判断は正しかったのか。」「癌の発見の遅れ。」「医師の説明が充分に行われたか。」「情報開示がなされていたか。」「手術や検査における説明(インフォームド・コンセント)がなされていたか。」など)が増えてきている。
・ カルテの位置付けについて:Informed Consent(I.C.と略)によってカルテの位置付けが変わってくる。カルテはI.C.に基づく正しい治療がなされている保証となるもの。カルテは患者の知る権利により、患者も閲覧の権利あり。即ちカルテ開示が必要となる。
・ 患者には自分の治療法などについては自己決定権がある。
・ I.C.の主語は患者である(医師ではない)。
・ I.C.の3要素
  @ 開示:正確な情報の開示。
  A 理解:患者が理解する内容でないといけない。
  B 同意:患者が選択、決定できる内容でないといけない。
・ I.C.は上記の意味でInformed Choiceの方が正確とも言われている。
・ カルテに対する患者の権利として「カルテ開示法」が出されようとしている。患者の権利としては次のものがある。 @ 口頭説明請求権 A カルテ内容の訂正要求権 ※ちなみにカルテの訂正には、年月日、内容、理由の明記が必要
・ 裁判における資料としてカルテは極めて重要。裁判時にはカルテとレセプトが付き合わされる。カルテに記載の無い検査がレセプトで見つかると、不都合な内容(検査結果)であったため削除したと判断されることがある。とにかくカルテの記載が重要。記憶でなく記録が重要。
・ カルテ開示も医事紛争を前提とする場合とI.C.を前提とする場合では全く違う。(日医が言っているのは後者) 前者の場合には、
 @ 患者側は証拠保全を求めてくる。これは民事訴訟法に基づくもので、同法238条に「不服申し立ての禁止」の条項もある。これに応じない場合には罰則規定は無いが、後日の法廷の場で「なぜ直ぐに応じなかったか」を詰問され、法廷でカルテを開示したときにも改竄を疑われる。
 A 弁護士会からのカルテ開示の依頼があった場合には、患者の同意があれば受けた方が良い。
 B 裁判所から他の事件の資料としてカルテ開示を求められたときは応じる。
 C 警察からの依頼も受ける。これは公益性のあるものと判断され守秘義務違反には当たらない。
・ 保険病名について:保険病名については、現行の医療保険制度ではある程度止むを得ないものとして法廷では認められる。