| 小郡市 丸山 泉
アイデンティティー確立のための学習
本年度から私共の医師会の生涯教育の担当を仰せ付かり先輩方の今までの苦労も分かって来ました。本年度は数回の制度変更のあと現在に至っています。制度のなかった頃と比較してみると、会員の関心も高くなり確かに生涯学習講座への出席率などは著しく向上しています。しかし、その必要性に対する会員の意識はあまり高くなく、制度にもいくつかの批判がある様です。
まず、単位取得のみで最終的な自己評価の客観基準がないのは問題です。開業を続けている間に技術的、知識的に自分に欠けている所が客観的に判断できればよいと思います。しかし、これが医師に必要とされる新たな基準づくりになることは反対です。今からますます多様化する医師の在り方に共通した基準を設ける事は所詮無理があると思うからです。あくまで自己評価のための判断基準作りです。
今は単位取得だけが目的となっているきらいがあります。単位を取得しようと思って参加した学術講演会でも必ず一つか二つ教えられる事があり、学術講演会などへの参加を続けておれば自然に力になります。まずは月に数回ですから参加していただきたいと思います。参加率の高さこそが本制度の社会的意味を持たせるものです。また、医学的知識や技術だけでなく、生涯教育の中に、我々のあるべき姿、人権や環境の問題、とりまく法律問題、保険制度、医療福祉制度まで、今までは学習の対象にあまりならなかったものまで含んでも良いのではないでしょうか。むしろこれらの比重を高めることで、医師会の独自性を明確にすべきだと思います。医学知識とともに強い社会認識と適格な現状認識を合わせ持つ事が、地域社会で活動する我々の必須条件だと考えます。そして医療システムをいかに理解していくか、いかに使いこなすか、システム構築にいかにかかわるかが、今後の医師にとっては大切な事になると思われます。医師会内部における有機的ネットワークづくりがまだ出来ていない事が、組織としての力を弱くしており、本来別の有機体であるべき医学部を頂点とするヒエラルキーから脱却出来ない原因だと思います。同様に、各学会に対しても結局は医師会の現実性を納得させることが出来ないのではないでしょうか。強固なネットワークが築かれてはじめて、医師会員であるメリットが明確になるはずです。そして我々のアイデンティティーもそうなると思います。
あるシステムを発展させるのに、最も重要な事は情報公開です。システム発展のメカニズムを内部だけに求めずに、外部のエネルギーを上手に使い医師会は現実性に強く立脚した上での専門性を武器にイニシアチブを取り続ける。このためには、ほとんど保護主義とも言える現在の医師会の在り方を変えていく必要があります。専門家が専門家であり続けるために、一般の人々によるある種の監視下におかれるのはやむを得ないことです。言葉が強すぎるならば、一般の人々と共通言語を持ち、ある部分共有した組織づくりがなさなければならないと言う事です。生涯学習制度も、「医師もこんなに勉強していますよ。だから皆さんまかせなさい」と言うような自己完結的で保護主義的な発想で続けられ、現在の開業医の在り方を無難に存続させようとしても、いずれ無理が来るのではないでしょうか。医師や医療に関する情報をできるだけ公開し、論議に耐え批判されて、目的意識のある生涯教育制度となって欲しいと思います。
今、我々のアイデンティティーは何でしょうか、非医師会員との違いはどこにあるのでしょうか。教育生涯制度の中でこのようなことも学習して行きたいものです。そしてまず参加していただきたいものです。
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