「この11年を顧みて・・・」

三井郡 友清 明

 6月の理事会が終わって「銷夏随想のテーマで県医報に寄稿の依頼がうちの医師会にきているので友清君にお願いする。」と丸山会長からお話があったときは思わず「えー、そんな−」と言ってしまいました。文才もないのでお断りしましたが、どうしてもと言うことでしぶしぶお受け致しました。
 「銷夏随想」?お恥ずかしい限りですが「銷夏」の意味を知りませんでした。早速辞書を引くと「暑さしのぎ」とありました。「消夏」とも書くようです。56年間生きてきてなんと学のないことでしょう。こんな私が書いた文章で果たして会員の皆様の銷夏になりますかどうか、はなはだ疑問に思いますが、どうかお許し願います。
 私が大刀洗診療所に赴任して12回目の夏を迎えました。平成4年春に当地に参りました時はまだ台風19号の爪痕があちこちに見られました。40代半ばでしたが、今年56歳を迎え、あっという間の11年でした。年相応といいますが、私の場合ただ馬齢を重ねるだけでちっとも成長してないようです。それでも赴任当時は中3、中1、小6だった3人の息子達もそれぞれ成人し、長男には今年3月末に長女が生まれ、私も終におじいちゃんになってしまいました。実はまだ孫とは写真でしか対面していません。この夏に家族で帰ってくる予定です。それまで楽しみはおあずけです。本当に待ち遠しくてなりません。
 私は特養の嘱託医をしていますが、特養の中で毎月句会が開かれています。私は句会への参加は一度もありませんが、投句を依頼されます。殆ど締め切り間近の付け焼刃の句が多いのですが、1句でも2旬でもできるだけ投稿するようにこころがけています。今年孫が生まれた後の4月、5月に作った句を紹介します。
「離れ住む孫見ぬままに春の月」「電話にて孫の様子や春の宵」「孫ほどの子に目の留まる風車」「春風に想ひ託して孫の元」「母の日や電話は孫の声なりし」これは俳句の先生に添削していただいたもので、元の句は「母の日や電話の向こうに孫の声」です。息子の嫁が電話をしてきた時に、受話器を通して孫の笑い声や泣き声、喃語が聞こえ思わず孫の名を呼んでしまいました。実は私は元の句の方が好きです。句としては未熟かもしれませんが、自分の素直な気持ちを表しているからです。
 たった17文字で、しかも季語を入れねばならず、上手く表現するのはなかなかむずかしいものです。奥深さを感じます。句会にも出ず、勉強もしないではこの先も上達することはないでしょうが、へぼな句でもできるだけ作っていこうと思います。