消費税増税にどう対処するか

 小郡三井医師会 白石 恒明

 医療をめぐる税制の問題を考える場合、以前より問題になっている最大の課題は消費税であろうと思われます。消費税は、原則として国内において行われる資産の譲渡・貸付け及び役務の提供に、消費税が課税されます。これら資産の譲渡等には非課税のものがあります。医療機関に関連するものとしては、健康保険法等の規定に基づく特定療養費、医療費等の支給に係る療養費、自動車事故の被害者に係る療養費、結核予防法による診断書料・協力料、労災保険の文書料、傷病手当金意見書交付料などがその対象です。また、当然のごとく薬剤費・医療機器・医療材料費・水道光熱費・外注事項(検査・給食・その他の委託料)など、医療提供に必要なサービスについては全て消費税が課税されています。
 基本的に消費税は、税金の最終的な負担者である消費者に正しく転嫁されることを前提に、事業者においては損益に影響させないしくみとなっています。しかしながら、健康保険法等の規定に基づく医療費が収入の大部分を占める医療機関においては、薬剤費などの消費税を転嫁出来ず、医療機関が大きく損をする損税となっています。89年の3%消費税導入に際し、医療機関では薬や給食食材などの仕入れ、検査センターへの支払いなどに消費税がかかるので、それに見合う分と称して診療報酬の一部が引き上げられました。具体的には薬代の2.4%(医療費換算 0.65%)引き上げ、給食費の10円引き上げ、 5〜7項目の血液化学検査の50円引き上げなどであり平均して0.76%でした。これに対し、医療機関にとってはこの程度の診療報酬引き上げでは、消費税の負担を補うことはできず、いわゆる損税が発生することになりました。 97年に消費税が 5%に引き上げられると、診療報酬はさらに0.77%引き上げられ、本来の医療費より1.53%アップになりましたが、それでも損税は解消できず今日に至っています。今回、政府・民主党は12月30日、社会保障・税一体改革の原案をまとめ、消費税率を現在の 5%から 2014年 4月に8%、 2015年10月に10%まで引き上げる方針を決定しました。診療報酬の取り扱いについては、非課税の維持で決定しました。今回も診療報酬などで手当するとされています。
 この問題は、基本的に消費税は税金の最終的な負担者である消費者に正しく転嫁されることを前提に、事業者においては損益に影響させないという税制の根本的な趣旨に反しており、不公平な税制になっていることです。これから先、消費税は 10%にとどまらず20%に達するかもしれません。前回までのような診療報酬などで手当てする方法では、今まで以上に、医療機関は損税を転嫁される事は間違いありません。また、根本的な解決になりません。医療機関の損税は、消費税が上がれば上がるほどその負担が増加し経営上ゆゆしき問題になっていきます。診療報酬とは別に消費税の還付を認めるような方法が求められます。