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白石 恒明(小郡三井)
日本には百数十の学会が専門医制度,認定医制度をもっている.この中には,T.日本内科学会,日本外科学会などの基本領域の学会,U.消化器病学会,日本循環器病学会,日本呼吸器学会,アレルギー学会,感染症学会などのSubspecialtyの学会,V.日本超音波医学会,日本集中治療医学会などの多領域に横断的に関連する学会,W.日本産業衛生学会などの上記の領域に属さない学会がある.
この制度の問題点としては,1)専門医制に混乱:現在,医師の約6割が何らかの専門医,認定医の資格を持っていると言われており,その質が担保されているとは言い難い.2)学会によって会員数に対する専門医の比率の差:専門医の比率が高いのは,基本領域の学会では,耳鼻咽喉科学会77%,泌尿器科学会74%,産科婦人科学会73%,脳神経外科学会73%,低いのは,救急医学会4%,
リハビリテーション医学会10%などである.
Subspecialtyの学会の方が専門医比率は低い傾向にあるが,それでも消化器病学会の50%からアレルギー学会,感染症学会10%までその格差が大きい.このことは学会によって専門医認定の難易度が異なることを意味し,専門医の質の管理が十分に行われていないことを意味している.3)学会によって専門医認定基準が異なる:専門医の認定基準が学会によってまちまちである.ほとんどの学会は筆記試験を行っているが,実技試験は10学会程度であり,合格率も59〜100%と差がみられる.更新時に筆記試験を行っている学会は僅かで,実技試験を行っている学会はない.4)専門診療科の区分が不適当:現在の区分は,学会に視点を置いたものであり,患者に視点を置いた区分とは言い難い.アメリカの専門医制度は,学会でなく診療領域で区分されている.5)真に必要な診療科別専門医数が検証されていない:各学会とも専門医を無制限に増やしている.定数粋を設けることについての議論はなされていない.診療科別の疾患数に応じた専門医数の検討を行うべきである.
専門医として研修すべき必須症例の経験不足は医療事故に繋がる.6)学会間に意見の対立が生じたとき調整できない:以前,がん治療専門医の問題をめぐって,複数の学会で意見の対立が起こり,社会的問題となった.要は国民にとって,患者にとって,もっとも良い方法をとることであるが,両者の話し合いはつかなかった.こうした意見の対立は,今後専門分化が進めば進むほど発生することが予想される.7)臨床研修終了後の研修と専門医制との関係が曖昧:新医師臨沫研修制度によって,わが国の卒後臨沫教育は変化したが,そのあとのいわゆる後期研修が独り歩きする中で,専門医研修をどうカリキュラムに組み込むかが不鮮明である.現在,各病院が独自に,多くは診療科別にいわゆる後期研修を実施しているが,学会認定専門医の資格取得をどう組み入れるのか不明瞭である.などが考えられる.また,我々内科医会会員としては,日本医師会生涯教育制度,日本臨床内科医会認定医,専門医との整合性をどのようにするかも問題である.
医学の進歩に伴って医学の各分野が専門細分化するのは必然的なことである.細分化した各専門の分野が専門医制を採用することの必然性について異論はないが,今後とのあり方としては各学会が細分化する前に必要な共通の知識・技能を保証する認定医制を設け,その上に専門医制を設けるという,2段階による専門医の認定を考えるしかないかもしれない.諸外国のように,まずかかりつけ医を訪れ,かかりつけ医の紹介で専門医の診療を受けるという体制の確立を作り,病診連携のより一層の推進を進めることが重要であろう.現在,厚生労働省が押し進めている総合医制度の創設もこの考え方の延長線にあるようである.しかしながら,今行われている医療改革は,医療費抑制を優先したものでありこのような理想とかけ離れた方向に進んでおり,極めて憂慮する状態である.
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