
- 「40歳までの胃内視鏡検診と、50歳までの大腸内視鏡検診を」
- 投稿者:やなぎ医院 院長 栁 純二
私は自院での外来診療、障害者や高齢者施設における診療の他に、体調が悪く通院が困難な患者さんに対しての訪問診療も行っています。ご自宅で、高齢の方・神経難病などの重篤な基礎疾患や各種障害をお持ちの方など多くの患者さんを診させて頂いていますが、近頃は癌末期の方を診る機会が増えてきました。長生きをすればその分癌の発生が多くなるのは止むを得ないところではありますが、高齢の方だけでなく若年の方にも癌が増えてきています。癌には様々な種類があり、治療が困難なものもありますが、近年医療が進歩し治療成績が格段に改善しているものも数多くあります。我々開業医は、患者さんに最も近い立場で、癌を出来るだけ早期に発見し、最善の癌治療に結び付けることを平素より心掛けていますが、発見が遅れて最善の治療に結びつかないことが多いのも現実です。
この1~2年で印象に残っているのは、3名の胃癌と2名の大腸癌の患者さんです。まだ40代~50代という若い年代の方々で、会社では働き盛りの中堅ないしは幹部職員であり、家庭においては子育て世代でした。いずれも症状が出て病院での検査を受けられていますが、その時点では残念ながら癌が進行してしまっていました。病院で最善の癌治療を受けられましたが治療も限界となり、在宅緩和医療を希望され当方が担当させて頂きました。癌末期には、痛み、呼吸苦、嘔気、倦怠感等多くの辛い症状が現れますが、医療麻薬、輸液管理、在宅酸素、鎮静など近頃は在宅でも出来る手段が多くなっています。これらの緩和ケア手技を駆使して、ご自宅でご家族と一緒に穏やかな看取りをさせて頂きました。ただ看取りをさせて頂いた後には、いつも医療者としてとても悔しい気持ちになります。それは胃癌も大腸癌も、今や早期であればほぼ完治できる疾患となっているからです。職場や自治体主催の定期健診を受けておられさえすれば・・・、という気持ちにどうしてもなってしまいます。我々医療者よりも患者さんご自身やご家族の方が、その後悔のお気持ちはより強いことでしょう。
このような不幸な事態が出来るだけ起きないようにするために、我々医療者から皆様にお願いしたいことがあります。それは、40歳までの胃内視鏡検診と、50歳までの大腸内視鏡検診を是非全ての方に受けて頂きたい、ということです。多くの方は症状が出てから検査を受けられますが、その時には既に癌が進行し治療が間に合わないことが多いのです。これを避けるためには症状が無い段階での胃・大腸内視鏡検診が必要です。検査の苦痛をご心配な方には鎮静をして眠った状態で検査することも可能です。検診を受けて頂くことで、皆さまご自身・ご家族に上記のような不幸な事態が起きることが避けられます。是非ご検討下さい。

令和8年11月