一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 新しい概念の脂肪肝:MAFLD→MASLDへの移行
  • 投稿者:神代病院 院長 髙田晃男

・前回の投稿でも脂肪肝の話を書きましたので違う話を考えてましたが、前回投稿した内容の一部が直後に変更になりましたので、訂正を含め今回も脂肪肝の話をします。

 

・何が代わったかと言いますと、最初はやや難しい話ですが、
前回、代謝異常に関連する脂肪性肝疾患(MAFLD:metabolic dysfunction-associated fatty liver disease)という新しい疾患概念をご紹介しましたが、その直後に呼称がMASLD(Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)に変更になりました。どうしてかと言いますと、「Fatty(脂肪)」の言葉が英語圏においては、肥満や不摂生に対する差別的なニュアンス(スティグマ)を患者さんに与えることが問題視されていました。このため国際学会主導で、医学的で中立的な「steatotic」に変更となりました。
皆さまに分かりやすく書きますと「脂肪肝の多くは肥満や糖尿病などの代謝異常が原因であることから、その実態をより正確に表すために病名がMAFLDからMASLDに見直されました」。あくまでも医学用語なので、皆さまは今までの脂肪肝とほぼ同様と考えてもらえばいいので、今回は脂肪肝についての復習をしたいと思います。

 

「脂肪肝」は肝臓からの生活習慣改善のサインです。
・健康診断で「脂肪肝ですね」と言われたことはありませんか?。症状がないため、「少し脂肪がついているだけ」「お酒を飲まないから大丈夫」と考える方も少なくありません。しかし脂肪肝は、放置してはいけない病気の一つです。
・脂肪肝とは、その名の通り肝臓に脂肪がたまり過ぎた状態です。以前はお酒の飲み過ぎが主な原因と考えられていましたが、最近はお酒をあまり飲まない方にも多くみられます。食べ過ぎや運動不足、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などが関係していることが分かっています。
・肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。多少悪くなっても自覚症状がほとんどないため、脂肪肝になっても気付かないことが少なくありません。しかし、一部の方では肝臓に炎症が起こり、徐々に肝臓が硬くなっていきます。進行すると肝硬変や肝がんにつながる場合もあります。また脂肪肝は、肝臓だけの問題ではありません。脂肪肝のある方は糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病を合併しやすいことも知られています。脂肪肝は、全身の健康状態を映し出す鏡ともいえるのです。

 

・では、脂肪肝を改善するためにはどうしたらよいのでしょうか?
最も大切なのは生活習慣の改善です。特別な薬よりも、毎日の食事と運動が大きな力を発揮します。食事では腹八分目を心がけ、甘い飲み物やお菓子を控え、野菜をしっかり食べましょう。また夜遅い食事を減らすことも大切です。
運動については、激しいスポーツをする必要はありません。ウォーキングや散歩などの有酸素運動を続けることが効果的です。さらに、スクワットや軽い筋力トレーニングを取り入れると、脂肪が燃えやすい体づくりにつながります。大切なのは「頑張り過ぎること」ではなく、「続けること」です。

 

・健康診断で脂肪肝や肝機能異常を指摘されたら、症状がなくても一度かかりつけ医に相談してください。早い段階で生活習慣を見直せば、脂肪肝は改善が期待できる病気です。
肝臓は毎日黙って私たちの体を支えてくれています。その大切な肝臓を守るためにも、この機会に食事や運動習慣を振り返ってみてはいかがでしょうか?。

 

・脂肪肝改善におすすめの運動とは?
脂肪肝を改善するために、マラソンや激しいスポーツを始める必要はありません。むしろ大切なのは、毎日少しずつ体を動かすことであり、住民の皆様向けにワンポイントをまとめました。
・脂肪肝改善の運動三か条
  1. まずは1日30分のウォーキング
  2. スクワットなどの筋トレを週2~3回
  3. 激しく頑張るより、長く続ける
肝臓は黙って働く臓器です。しかし運動を続けると、その努力にきちんと応えてくれます。今日の10分の散歩が、10年後の健康な肝臓につながるのです。

 

・最後に、脂肪肝は肝臓からの警告であると同時に、『今ならまだ間に合いますよ』というメッセージでもあります。今日の一歩が、将来の健康な肝臓につながります。

 

 

令和8年10月

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