一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

田中内科医院 院長 田中 泰之

  • 成人において解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェン(カロナール錠®)をお手元に
  • 投稿者:田中内科医院 院長 田中 泰之

さて今回のお話しですが、インフルエンザ感染症、急性気管支炎、急性上気道炎あるいは頭痛時に処方処方されているアセトアミノフェン(先発品:カロナール錠®)の残薬をお手元に残して有効活用しましょうという話です。

アセトアミノフェンは解熱鎮痛剤に分類されるお薬で熱さまし、頭痛止めとしてよく処方されています。安全性は高く、妊婦、授乳婦、乳幼児等にも内服させることができる薬剤です。鎮痛効果は通常用量である400㎎では強くありませんが、600㎎、800㎎に増量することによりがんの痛みにも使用することがあります。

また各医療機関でも使用頻度が高い薬剤であり回転が速く処方時長い有効期間持つことが多いと思われます。当院の処方では2年以上の有効期限がありました。

ではどのように有効利用するのでしょうか、突然の発熱や頭痛時にこのアセトアミノフェンを内服してください。以前でしたら発熱したらすぐ医療機関に受診でもOKでしたが、最近は以下の2つの理由で多くの場合(もちろんアセトアミノフェンにアレルギーがある方は除きます)、まずアセトアミノフェンの内服をお勧めします。

 

1)冬突然の発熱となるとインフルエンザウイルス感染症があがりますが、診断にはインフルエンザ抗原迅速診断キットを使用します。この診断キットインフルエンザ感染症であっても発熱等の症状出現時より12時間以上たたないと陽性にならない場合があります。発熱してインフルエンザ感染症を疑いすぐ医療機関に行ってインフルエンザ抗原迅速診断キットで陽性ならインフルエンザと診断されますが、陰性の場合は完全には否手できず、発症より12時間以上たって再度受診する必要がでてくる場合があります。

 

2)夜間休日の発熱時、夜間休日の救急外来受診しても医療機関が多忙で長い待ち時間が発生し、待合室で別の感染症にさらに感染するリスクも存在ますし、診療を受けても重症患者に集中するため最低限の診療しか受けられない場合があります。できれば発熱したら一度残薬のアセトアミノフェンで熱をおさえて人員がそろっている日中にさらにいえば平日の通常診療時間内に受診いただくようお願いいたします。ただし、アセトアミノフェンを飲んで解熱しても具合が悪い、誤嚥性肺炎、腎盂腎炎等繰り返す細菌感染症の既往がある等がありましたら夜間休日の救急外来受診をお勧めいたします。

 

他に残薬の有効利用としては花粉症の薬があります。花粉症のお薬は少しでも症状が出始めた時から内服し始めると症状が軽く済むことが多くあります。シーズン終わりに処方した薬剤を余れば翌年のシーズンの軽度症状出現時に使用し花粉シーズンを乗り切っておられる方が多数いらっしゃいます。花粉症の内服薬は通常1年程度の有効期限はありますし、点眼薬・点鼻薬開封しなければ翌年使用問題はありません。

 

最後に、細菌感染症に使用する抗生剤は薬耐性菌の問題があるためお薬を残すこと、残った薬剤は使用することはしないようにお願いいたします。

 

平成31年4月

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