一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

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  • 間違ったダイエットの危険性
  • 投稿者:松尾医院 院長 浦江 美由紀

テレビ、ラジオ、週刊誌などを通して色々なダイエット情報が氾濫しています。この中には死に至るような、とても危険なダイエットもあります。

 

 

*極端に偏った食品摂取によるダイエット

手軽で安価な一品目のみを食べるダイエットが流行したことがありました。グレープフルーツダイエット、りんごダイエット、パイナップルダイエット、ゆで卵ダイエットなどです。体重は減少しても、ビタミン欠乏性多発性末梢神経障害や筋力低下、知覚異常、さらには、口内炎、不整脈、意識消失発作などの重篤な障害を起こす症例が相次いで報告されて、今では間違ったダイエット法としてよく知られています。

 

 

*肥満はなぜ悪いか

肥満とは、脂肪が過剰に体内に蓄積した状態をいいます。肥満が悪いのは、太れば太るほど糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病を合併するからです。肥満が多くの合併症を伴うのは、脂肪細胞が、単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、多くの合併症を引き起こすホルモンを多数分泌しているからです。例えば、インスリン抵抗性の糖尿病の元凶となる腫瘍壊死因子(TNF-α)、高血圧症の原因になりうるレプチンやアンギオテンシノーゲン、さらには、動脈硬化の元凶となるアディポネクチンなどのホルモンを分泌しています。さらにこれらの合併症は、今ある体重から5~10%減量(脂肪量の低下)できればホルモン分泌は正常化され、治ってしまうことがわかっています。
それゆえ、脂肪の過剰蓄積が悪いので、減量して脂肪を減らすことはとても大切なことです。

 

 

*生命の維持に不可欠な蛋白質(必須アミノ酸)

果物やゆで卵による単品ダイエットでは、生命に維持に欠かすことが出来ない蛋白質(必須アミノ酸)やビタミン、ミネラルが欠乏し、重篤な病気を引き起こしたり、基礎代謝量の低下につながり、筋肉量や水分は減量しても、脂肪の減量は少なく、その減量もすぐに止まってしまいます。日本人成人は、骨格筋の維持のためにも、栄養学的に1日最低70gの蛋白質(1~1.2g/kg・標準体重)を摂取すべきなのです。70gの蛋白質とは牛乳(200ml)1本+卵1個+魚80g(刺身5切れ)+肉80g+豆腐1/2丁に匹敵します。

 

 

*誤った薬物によるダイエット

中国の漢方薬での死亡例が相次いで報告され社会問題になったことがありました。現在、欧米にて認可されている抗肥満薬のシブトラミン(中枢性食欲抑制薬)やオルリスタット(リパーゼ阻害薬)でも6ヶ月内服して4~6Kg の体重減少をおこすのにすぎません。それがこの漢方薬では、1ヶ月に6Kg も減量できるといいますから、それだけでも異常であります。中国のこの漢方薬には実際、肝臓毒になるニトロソ化合物が含まれていました。こんな強力な薬剤とは違っていても[一日一本飲めば痩せる]と宣伝しているものもあります。実際、健康食品の中には、コレステロール低下作用や腸管からの糖質吸収阻害作用などの効果を有するものもあります。しかし、体脂肪の燃焼作用や体重減少効果を人間で証明したダイエット食品はほとんどありません。したがって、減量の助けにはなっても減量法とはいえません。以前は甲状腺ホルモン剤が抗肥満薬の中に名前を連ねている時代もありました。しかし、甲状腺ホルモン内服にて減少するのは筋肉であり、脂肪はほとんど減少していないことが明らかとなりました。現在では肥満に対しては甲状腺ホルモン剤は使用しないことが常識になっています。

 

*防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

中国の漢方薬が悪いというと何もかも漢方薬は悪いように聞こえるかもしれません。しかし、日本でも肥満症の病名で医療保険の適応が取れている漢方薬があります。それは「防風通聖散(ボウフウツウショウサン)」です。これは18種類の生薬よりなるが、このうちの麻黄にはエフェドリンが1gあたり3.3mg含まれており、レンギョウ、ケイガイ、甘草にはホスホジエテラーゼ阻害作用があるため、この漢方薬を内服すると、交感神経系が持続的に活発化され、全身の代謝が亢進して痩せることが証明されています。食事療法と併用すると6ヶ月間で食事単独より3Kg さらに痩せられるといわれています。

 

 

*サウナなど

サウナに入ると体重は減少し、一見痩せたような印象を受けます。しかし、発汗により水分が減っただけで、水を飲むとすぐ元に戻ってしまいます。脂肪が減少したのではないので、ダイエットとはいえません。また、利尿薬使用や下剤の乱用も同様に脂肪減少とは関係がないのでダイエットとはいえません。

以上、ダイエットは正しい知識と情報、指導のもとに個人個人に合わせた適切な食事・運動指導と精神的ケアが行われるべきであり、安易な誤ったダイエット法には大きな危険がつき物でありますのでご注意ください。

 

平成17年5月

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