
- 最新の骨粗鬆症治療について
 - 投稿者:にのみや整形外科 院長 二宮 康明
 
  みなさんの中にも骨粗鬆症を飲み薬や注射薬で加療されている方はたくさんいらっしゃると思います。骨密度を測定して数字が低いから飲み始める方がほとんどだと思いますが、中には背骨の圧迫骨折や大腿骨のつけねの骨折を受傷した事がある方もおられるのではないでしょうか。骨粗鬆症になると、転んだとかしりもちをついたくらいのことで骨折することが多々ありますが、骨折しやすい部位がいくつかあります。その中でも背骨の圧迫骨折や大腿骨のつけねの骨折は骨粗鬆症が進行しているサインとなります。
骨密度測定は骨のカルシウム量を測定していますが、骨の強さのもうひとつの大事な要素であるコラーゲンについては測定する方法がありません。カルシウムは減っていないがコラーゲンが少なくなっているタイプの骨粗鬆症は骨密度測定すると数字は良いのに、しりもちついたら背骨の圧迫骨折を起こしたり転んだら大腿骨のつけねを骨折したりするわけです。つまり骨粗鬆症の治療を骨密度の数字だけで決めるのは危険で、骨折をした事があるのか、また実際に背骨のレントゲンを撮影して圧迫骨折があるのか等も考慮して決めなくてはなりません。
 骨粗鬆症のお薬はたくさんありますが、そのなかに骨を強くするお薬がいくつかあります。こう言うとみなさんの中には、私が処方してもらっているお薬は飲んでも骨は強くならないの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。ほとんどの骨粗鬆症のお薬の効き目は(厳密に言うと多少骨密度は増えますが)わかりやすく言えば進行しないようにくい止めてくれるようなイメージで考えてもらうと良いかと思います。骨を強くするタイプの骨粗鬆症のお薬はテリパラチドやロモソズマブという名前のお薬で、すべて注射薬です。
1回背骨を骨折すると次の骨折を起こす危険が格段にはね上がります。そして骨折の数が増えていくと要介護の状態に近づいて行きます。ということで次の骨折を起こさないために、テリパラチドやロモソズマブという強力な効果のあるお薬を使って骨を強くすることが大事です。ちなみに効き目が良いだけにお値段も高く、1ヶ月のお薬代が1割負担の方で高いもので5,000円程度から安いもので2,000円程度です。これらの注射薬はどのような方に使ってよいのかが厳密に決められています。たとえば、圧迫骨折を2回した事があるとか骨密度が60%以下であるなどです。つまりいつ骨折が起こるかもしれない骨折リスクの大きい重症の骨粗鬆症の方には使ってよしとなっています。骨粗鬆症のお薬を処方されていても、背骨や大腿骨を骨折した事がある方はぜひ整形外科専門医を受診してみてはいかがでしょうか。本当に今処方されているお薬でいいのか、それとも骨を強くする注射薬を使うべきなのか判断していただくことをおすすめします。
令和7年11月