一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • サルコペニアのお話
  • 投稿者:権藤内科循環器科 院長 権藤 秀之

椅子に座布団敷くようになったら要注意
最近腰掛けているとお尻が痛くなるので座布団を敷くようになったなんてことはありませんか。そのような人はサルコペニアになりかけている可能性があります。

サルコペニアとは
    Sarco(筋肉の)penia(減少)のカタカナ読みでその名の通り
手足の筋肉の量、強度、機能が減少していく状態または病気です。40歳頃から発症し75歳頃には深刻な状態となります。50歳を過ぎると加齢に伴う筋肉量の減少は年間1~2%であり、50~75歳にかけて筋肉量は劇的に減少(約25%)します。30%を超える筋肉量の減少は正常な筋肉の機能に悪影響を与えると考えられています。

予防は出来るのか
    研究者によると筋肉減少症は少なくともある程度は回復できると考えられており高齢者予備軍(50~60歳代の人々)は将来に備えて筋肉の備蓄量増加に努めるべきと言われています。

筋肉量を増やすためには
    研究によると筋肉量を増やすものは内因性(体の中から出てくる)のインスリン、テストステロン(男性ホルモン)、成長ホルモンやアミノ酸、そして機械的刺激(いわゆる筋トレ)です。筋肉トレーニングはもっとも効果的な機械的負荷のかけ方であり、よって筋肉内におけるタンパク質合成量を高める強力な刺激になります。これは高齢者の筋肉量の保持にも不可欠です。

無酸素運動
    筋肉量を増やすためのトレーニングは、ダンベルやトレーニングマシンなど主に加重装置を使った制御された運動がすすめられます。ちょっと重めのダンベル(2kg前後)で上半身の筋肉を鍛え、足におもり(0.5~1kg)を着けて足上げをすること、水泳(短距離速泳を繰り返す)や負荷をかけた自転車漕ぎなども有効です。膝に負担を掛けず下半身強化するにはプールでのバタ足が良いでしょう。いずれも息が上がる乃至少し息が切れる程度の負荷は必要です。
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳いずれもゆっくり長く続けるもの)は残念ながら筋肉量増大には繋がりません。しかし心肺機能を高める効果があるので、無酸素運動の後に有酸素運動を行うことは意義があります。

タンパク質の補給
   血中の必須アミノ酸濃度が筋肉中のタンパク質合成能を制御することが明らかになりました。必須アミノ酸を豊富に含む蛋白源による食事療法は筋肉の蛋白合成能を活性化させると考えられています。筋肉の補修のためにプロテインサプリメントを運動直後、さらに就寝前1時間に摂取することは筋肉量増大に有効です。

 老化を防ぐことは出来ませんが、その進行を遅らせることは出来ます。
筋肉は使わないとすぐに衰えてしまいます。軽い筋力トレーニングを生活の中に取り入れいつまでも若々しい体を保ちましょう。

ご注意
   以上の内容は運動器(骨 関節 筋肉)に問題が無く、血圧もコントロールされている方々を対象に書いています。これらに問題や不安がある方はまずは主治医にご相談ください。

平成23年7月

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