一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 動脈硬化がもたらす病気
  • 投稿者:佐々木医院 院長 佐々木 一彦

血管には静脈と動脈があり、動脈は酸素や栄養分を全身に運ぶ血管です。この動脈の壁がコレステロールなどの脂質の沈着などによって、内腔が狭くなった状態が動脈硬化です。動脈硬化は、心臓、脳等身体のあらゆる場所に起り、ゆっくり進行してきます。初期には症状がみられない事が多く、身体に症状が出現する頃には症状がかなり進行している状態となります。

 

1・動脈硬化が及ぼす影響
動脈硬化が進むと、動脈の壁は壊れやすくなり、血栓もできやすい状態になって行きます。
● 脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)
脳の血管に及ぼす影響として、血管が破れると脳出血、血栓で血管が詰まり、血液が流れなくなった状態の脳梗塞となります。発作を起こすと、重い後遺症を残す場合が少なくありません。
● 虚血性心臓病(狭心症・心筋梗塞)
心臓の血管に及ぼす影響としては、心筋に血液を供給する冠状動脈が狭くなると、胸がしめつけられる様な痛みがある「狭心症」、血管が完全につまってしまうと、心筋が壊死する「心筋梗塞」が起こりやすくなります。重症の場合は死に至ることもあります。
● 腎臓病(腎不全・尿毒症)
腎臓の細かい血管である細動脈に動脈硬化が起ると「腎不全」などを起すこともあり、進行すると「尿毒症」を発症することもあります。
● 血管障害
血管壁が、こぶしのように膨らみ、破れやすくなる「大動脈瘤」をはじめ、足の血管が詰まる「閉塞性動脈硬化症」が発症することもあります。

2・動脈硬化の要因
生活習慣と大きな関わりがある危険因子には次の要因があります。
高血圧:高血圧の状態が続くと、血管は硬く、もろくなり、更に血管の壁は傷つきやすくなり、そこにコレステロールなどの脂質が入り込んで、血管の内腔が狭くなって行きます。
高脂血症:コレステロールや中性脂肪の量が多すぎる状態であり、過剰なコレステロールは血管の壁に取り込まれ、動脈硬化を促進します。
糖尿病:高脂血症になりやすい傾向があります。
肥満:高血圧、高脂血症、糖尿病等を引き起こすことが知られています。
喫煙:コレステロールが増加したり、血圧が上昇することが知られています。
運動不足、ストレス等も動脈硬化の一因となります。

3・動脈硬化を防ぐためには
危険因子を取り除くように、生活習慣を見直すことです。
危険因子はひとつひとつは重症でなくても、複数が重なることで、動脈硬化の進行が加速さてます。
動脈硬化を予防、治療していくには、食事と運動がポイントとなります。コレステロールや中性脂肪を減少させる薬を処方されることもありますが、あくまでも血中の脂質の増加を抑え合併症を防ぐことが目的です。
エネルギーのとりすぎに注意しましょう。
高血圧の人は塩分を控えましょう。
動物性脂肪を減らしましょう。
食物繊維・ビタミンを多くとりましょう。
野菜、海藻等、繊維を食べると、腸内で脂肪が吸収されにくくなり、血液中のコレステロールも減少すると云われており、ビタミン類は、コレステロールが血管内に吸収されにくくする作用があります。
喫煙、過度の飲酒は控えましょう。
軽い運動を続けましょう。
適度の歩行やウォーキングを接続的に行なえる運動が効果的です。効果をあげるポイントは、1回20~30分以上、週に2~3回続けることです。ただし、重症の高血圧症である場合は、運動療法は特に注意が必要です。また、早朝や冬場は血圧が高くなっているため注意が必要です。

動脈硬化は、進行することはあっても、よくなることはないと云われて来ました。生活習慣の改善を、早めに取り組むことが大切です。健康診断を受け、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満など動脈硬化の危険因子が発見されたら、生活習慣を見直すことが必要です。

平成18年2月

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