一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

聖和記念病院 内科 蓮尾 春高

  • 帯状疱疹
  • 投稿者:聖和記念病院 内科 蓮尾 春高

帯状疱疹は帯状に水疱ができるのでこの名前が付いています。赤い発疹なのにかゆみより痛みが主体の皮膚感染症です。

原因:
 水痘・帯状疱疹ウイルスが原因です。これは子供のときにかかった水ぼうそうが治った後、長年神経節に潜んでいたウイルスが、疲労、加齢、精神的ストレス、手術、抗がん剤治療など体の免疫力が落ちたときに活動を再開して発症します。

症状・経過:
  はじめ皮膚のピリピリ感で始まります。その数日から1週間後に赤い発疹が帯状に現れます。初期は虫刺されや蕁麻疹と間違えることもあります。すぐに水疱が群れて現れ、数日で潰れて赤くただれ、さらにその数日後にかさぶたとなり、やがて枯れていきます。この間約2~3週間で痛みもほとんど消失します。
 一度かかったら二度と罹らないと言われていますが、膠原病などでステロイド治療をしているときや、白血病などで免疫力低下時は再発することがあります。まれに皮膚症状が治った後に痛みが残る場合があります。これが帯状疱疹後神経痛です。

発症部位
「胴巻き」とも言われるように片側の肋間神経に沿って背部から胸部に好発します。首や顔、腹部にもよくみられます。顔では三叉神経にできると脳炎や髄膜炎に至る恐れもあり、目にできると角膜炎や結膜炎から失明に至る恐れもあります。

治療:
皮膚症状が出て72時間以内に抗ウイルス剤を内服開始すると効果的です。外用薬や消炎鎮痛剤も併用します。皮膚症状が出る前に治療開始すると痛みや皮膚症状が軽くなるだけでなく、皮膚症状が治った後の帯状疱疹後神経痛の発生を抑えることができます。
 範囲が広くて激痛の場合や免疫不全の場合は抗ウイルス剤を1日3回7日間点滴しますので入院が必要となります。

日常生活での注意:

心と体のストレスを避けるため安静を保つ。
患部を触らない。特に水疱を破ったり、破れた水疱を触らない。
患部を冷やさない。温めてよい。入浴してよい。
※但しまだ水ぼうそうに罹ってない人との接触は避ける必要がある。

帯状疱疹後神経痛:皮膚症状が治った後、数ヶ月から数年痛みが続くことがあります。先の帯状疱疹が重症化した場合や高齢者、糖尿病の人に起こりやすいので、帯状疱疹の早期治療が大切です。
帯状疱疹後神経痛の治療は薬物療法、局所療法(神経ブロック他)などいろいろありますが、なかなか治りにくい場合があります。

平成22年5月

PAGE TOP