一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 消化管疾患(病態的見方)
  • 投稿者:中原内科クリニック 院長 中原 俊尚

食道、胃、十二指腸、小腸、大腸は管腔臓器で食べ物を消化吸収し肝臓に栄養分を蓄えさせる重要な臓器です。病気は炎症性病変、循環障害、潰瘍性病変、隆起性病変(ポリープ)、腫瘍性病変(良性、悪性)がある。

1) 炎症性病変(発赤、発熱、腫脹、疼痛)は食道では逆流性食道炎、下部食道に胃液など食道に逆流し尖症を起こし胸焼けなどの症状を生じます。胃では何十年も食物を消化させるため消化管運動で炎症を起こし、またヘリコバクター・ピロリ菌の関与による炎症で慢性胃炎と言われます。
小腸、大腸では感冒、食中毒、O157などウイルス、細菌などによる炎症がある。

2) 循環障害
血管には動脈、静脈とあと1個、消化管より肝臓に流れる血管がありこの血管を門脈と言う。肝疾患(肝硬変)のある人は門脈の圧亢進で食道、胃に拡張した静脈瘤ができます。大腸に動脈の流れの悪い部位があり動脈の流れが悪く酸素不足による阻血性腸炎を起こす。

3) 潰瘍性病変は組織欠損した病態で、胃、十二指腸潰瘍は消化性潰瘍とも言われ消化液、ヘリコバクター・ピロリ菌による組織破壊され組織欠損を起こし潰瘍を起こします。大腸には特殊な潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸結核があります。

4) 隆起性病変(ポリープ)
胃、大腸によく見られ、胃は正常組織の過形成が多く、大腸には腫瘍性(良性、腺腫)が多いようですが、大きさ1cmを越える良性腺腫の表面に悪性(癌)の所も見られポリープを切除するのみで完治し安心です。

5) 悪性腫瘍(食道癌、胃癌、大腸癌)
消化管の上皮には2種類、食道(扁平上皮)胃・大腸(腺上皮)で、食道癌(扁平上皮癌)、胃癌(腺癌)、大腸癌(腺癌)です。
癌を発症した患者は命がない不治の病と言われますが、癌は転移するからで良性腫瘍でも3kg以上の腫瘍でも切除すれば完治します。
癌は直接浸潤、血行性、リンパ行性の転移があり、特に消化管の食道癌は予後が悪いといわれますが転移しなければ癌であっても癌ではないのです。
よく扁平上皮癌で上皮内癌、腺癌で粘膜癌と耳にされる事があると思います。食道は扁平上皮のため皮膚の上皮と同じで上皮が基底膜で境され上皮内の癌であれば転移することはないのです。女性の子宮頚部の癌(上皮内癌)、皮膚のボーエン病も同じ病態でこの状態の癌で発見されれば生存率は100%です。
胃、大腸で粘膜癌の場合、転移なしで粘膜剥離術(内視鏡手術)で完治しますので悪性腫瘍(癌)は早期発見が重要です。

平成21年1月

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