一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 肌の乾燥
  • 投稿者:仏坂内科医院 院長 佛坂 博泰

最近はアトピー性皮膚炎が増えている。
色々原因は挙げられるが、乾燥肌も一因である。最近はエアコンの完備によりいくら水分を補っても追いつけない程乾燥がひどい環境にある。乾燥により皮膚表面がめくりあがったりする。
皮膚の一番外側は角質層よりなり、その上を皮脂膜が被っている。皮脂は皮脂線より分泌され冬場には皮脂の分泌が減っているため、乾燥により角質層がめくりあがったりする。
十分に角質層に蓄えられた水分を保つことが出来ず、蒸発してめくりあがるわけである。

寒い北風が吹くときは、皮膚が痒くなる。ストーブを炊くときには、高温で燃やすと空気中の酸素と窒素が化合してNO酸化窒素を発生する。特にガスストーブ、温風ヒーターを高温で使用するときには、注意が必要である。無味無臭のNOは活性酸素の一種で、いわゆる自動車の排気ガスに含まれていて有名である。喘息の原因でもある。冬場は乾燥した日が多い。NOは無味無臭のため,人間には全く感知出来ない。こういった乾燥した日には、ストーブを高温で使用すると代表的な活性酸素のNOにより、皮膚が酸化され水分の保湿能力がおちる。皮膚のバリアー能力が落ちてアトピー性皮膚炎となる。何度も酸化されると,細胞のDNAが傷つけられ元にもどらなくなる。保湿力の低下 ⇒ DNAの傷害, と悪循環を繰り返す。
乾燥した冬の日は,加湿器を使うとか、ストーブの温度は低めにするとか注意したいものである。

 もう一つ、食事が欧米化したことも原因となる。動物性(主に牛・豚肉)脂肪が多くなり細胞の間隙を埋める脂肪の質が落ちてきたのである。牛豚の脂肪は分子量が大きく皮膚を被う機能は劣る。食事により原料となる脂肪の性質が変わってくる。植物性の脂肪が分子量が小さく目が細かく,外界からのバリアー機能には適している。動物性が全部悪いのではなく、魚はよいようである。魚でも小魚の方がよいようである。特に北方の魚の脂肪は、低温で潤滑油の働きをしている。

肉食の制限。日本人には矢張り昔の日本食が合う。昔の日本食は塩分が多い。これからは,塩分10g/日以下の日本食がお勧めである。

平成19年4月

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