一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 肺がんの原因(喫煙との関係)
  • 投稿者:聖和記念病院 院長 吉峯 研二

日本では、肺癌や大腸癌など欧米で多い癌が増える傾向にあります。肺癌は、年間約6万人以上の患者さんが発生しています。69歳までに肺癌になる確率は、男2.5% 女0.9%ですが、74歳までだと男4.4%、女1.3%と高齢になるほど確率が高くなります

 

肺癌になりやすいかどうかは、各個人で違っています。発癌物質の摂取は肺癌になりやすいかどうかを決める大きな要因です。
肺癌の原因で最も影響が大きいのは喫煙、男性肺癌68%、女性肺癌の18%は、喫煙が原因と考えられています。タバコをすう人がいなくなると男性肺癌の約7割、女性肺癌の約2割を減らすことができることになります。
喫煙者が、生涯のうち肺癌になる割合は20%以下ですが肺癌患者の80%~85%は、喫煙者です。また、喫煙者が肺癌になる危険率は非喫煙者の10~20倍ほど高いと思われます。

 

肺癌の発生率は50歳以上で急激に増加し、喫煙開始年齢が若いほど、喫煙量が多いほど肺癌危険率は高いとされています。ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)と言うものがあり、400を超えると肺癌の発生危険率が高くなります。喫煙者が禁煙すると、肺癌危険率が低下し、禁煙年齢が低いほど、その効果が大きいようです。受動喫煙も、危険因子の1つになります。
受動喫煙者は、非受動喫煙者にたいして肺癌罹患危険率は、21~26%増加するようです。また、喫煙指数が同じ場合には、女性のほうが肺癌になる危険性が高いようです。
そのほか、大気汚染、環境や職業におけるいろいろな物質への暴露(アスベスト、クロム)遺伝的素因、呼吸器疾患の既往などがあります。タバコを吸わない人にも肺癌はできるので、私達の環境中には、まだ見つかっていない発癌物質があると予想されます。逆に、野菜や果物の摂取が多い人で肺癌の発生率が低い傾向があるようです。ただし、これらの要因は喫煙よりはるかに小さいと思われます。早速、タバコを吸っている人は禁煙して少しでも肺癌を予防しましょう。

 

平成17年7月

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