一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

倉岡外科内科医院 院長 倉岡 圭

  • 胆石症について
  • 投稿者:倉岡外科内科医院 院長 倉岡 圭

胆石症は消化器病の中でも頻度の高い疾患です。典型的な症状としては、右上腹部痛、黄疸、発熱などが挙げられますが、それだけで診断がつくことはほとんどありません。診断は問診、腹部の診察に加えて、血液生化学検査、腹部エコー検査を行い、必要に応じて腹部造影CT、MRI検査を追加で行い、重症度判定、治療方針を決定していきます。
胆石と一言にいっても、

1.胆嚢結石

2.総胆管結石

3.肝内結石

と、大きく分けて下記の3種類があります。
それぞれに対して治療方針がありますが、簡潔にまとめますと、治療方針

1.経過観察

2.内服治療

3.内視鏡的治療

4.外科的治療(+経皮的治療を含む)

に集約されると思います。治療方針の選択は重症度、背景因子(基礎疾患、高齢者など)を総合的に判断して、慎重に決定されていきます。早期治療が望ましい場合や、待機的な治療でよい場合がありますが、時に急性閉塞性化膿性胆管炎などの非常に重篤な病態を引き起こし、集中治療が必要になる場合もありますので、正確な病態の把握が非常に重要です。

 また胆石症は急性疾患の顔を持つ反面、悪性腫瘍、いわゆる胆嚢癌、胆管癌の合併が問題となってきます。特に高齢者の方は注意が必要です。急性期を脱し、無症状となった後に、癌を合併してくる場合もあります。症状改善後も定期的な画像診断と、初期治療時の積極的な画像診断が非常に重要であると思っております。内視鏡的治療や手術後、症状改善後も定期的な診察、血液検査、画像検査がある一定期間は必要であると考えております。

 現在は「Tokyo Guideline 2013」という国際基準に基づいた「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2013」に沿って診療を行い、十分な説明・同意のもとに患者サイドの治療選択の意思決定確認した後、治療が導入されていきます。頻度の高い消化器疾患ですが悪性腫瘍の合併や、重篤な病態に移行する疾患であり、発見した場合は必要に応じて地域中核病院や大学病院などの専門施設への紹介や、その後の専門医による定期的な経過観察が重要な疾患であると思います。
 検診で見つかる無症状のものもありますので、まずはお近くの医療機関での腹部エコー検査などをおすすめします。

平成26年8月

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