一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 頭痛
  • 投稿者:仏坂内科医院 院長 佛坂 博泰

頭痛は最も頻繁にみられる不快感の一つである。思春期ごろからだんだんと頭が痛いことが多くなり、一生涯付き合っていかねばならない。ちょっとした緊張、ストレスとか疲労で起こり得る。
頭痛には、一般的に頭部片側に起こす偏頭痛が多い。ストレスの多い現代ではよく起こるのである。時々拍動を伴う。鎮痛剤(アスピリン、フェナセチン)の内服でよく治まる。発生のしくみは、脳動脈の拡張とこれに伴う周囲の知覚を有する組織に起因しているらしい。
次に、更年期障害による頭痛がよく見受けられる。肩こり、腰痛、手のしびれに伴う頭痛である。長引くと不思議と下肢に腱違いに似た痛みまで出てくるのである。後頭部を縛ったような、痛みというより圧迫感に近い。ペンゾ・ディアゼピン系の筋弛緩剤(エチゾラム)や漢方薬(桂枝茯苓丸、四物湯等)がよく反応する。
それから、風邪の発熱時に頭痛がするのは周知のことである。風邪の後にいつまでも続く頭の芯に残るしつこい頭痛がある。2、3か月も続くことがある。無理な運動をせずに栄養をバランスよく取っていれば必ず治る。ただし、意識が薄くなるとか意識不明になると要注意である。無菌性髄膜炎を併発して死に至ることがまれにではあるがある。
高血圧の人が頭痛を訴えるのは、急に血圧が上がった場合である。かかりつけの医師に相談することである。発生のしくみは、急な脳動脈の拡張によるものらしい。
頭痛とはいろいろで範囲が広く、重い病気の兆候となることは少ないといわれるが、これだけは挙げておかねばならない。有名人がこの病気のためによく亡くなるクモ膜下出血である。これは脳動脈が頭蓋内で破裂するために起こる激しい頭痛である。頭蓋内圧の昂進によって起こる。頭蓋内圧の昂進による頭痛には、ほかに慢性硬膜下血腫、脳腫瘍がある。
慢性硬膜下血腫による頭痛は、「以前に軽く頭を打ったぐらいでたいしたことがなかったがなぁ」といったときなどに起こる。最初はめまいがして、傾眠状態に近い痛みである。脳腫瘍による場合は、激しい頭痛から、まったく頭痛のしない状態まで種々雑多である。
クモ膜下出血、硬膜下血腫、脳腫瘍は、頭部CTスキャンとかMRIの検査法により現在容易に診断がつく。頭痛の続く人は、一度はこれらの検査を受けた方がよい。

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