一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 食中毒の予防法
  • 投稿者:やなぎ医院 院長 柳 純二

1996年には病原性大腸菌O157による集団食中毒が発生し、大きな社会問題となりました。近頃はあまりマスコミでも取り上げられなくなりましたが、O157による食中毒は決して減っているわけではありません。厚生省の発表によると今年5月中に約15件のO157による食中毒の報告があり、6月にはさらに増えつつあります。その他カンピロバクター、サルモネラ菌などによる細菌性の食中毒もみられますし、小型球形ウイルスやロタウイルスといったウイルス性の食中毒も増えています。食中毒とはこれらの細菌やウイルスや、細菌が出す毒素の入った食品を飲食することで急性胃腸炎症状(腹痛、下痢、嘔吐、発熱など)が発生した状態を言います。症状が出たら直ぐに医療機関で診察を受けて下さい。しかし何より大切なのは食中毒にかからないようにすることです。ここでは家庭でできる食中毒予防の6つのポイントについてお話しします。

ポイント1:食品の購入
①肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮なもの(消費期限に注意)を購入する。②購入した食品は肉汁や魚汁などがもれないようにビニール袋などに分ける。③生鮮食品などの購入は最後にする。

ポイント2:家庭での保存
①生鮮食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫へ。②冷蔵庫、冷凍庫は詰めすぎないように(7割を目安に)。③冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15度以下に。(細菌の増殖は10℃でゆっくりになり、-15度で停止します。しかし細菌が死ぬことはありませんので早く使いきりましょう。)④肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れる。⑤肉、魚、卵などを扱う前後は手を洗う。

ポイント3:下準備
①台所を清潔に。②井戸水の場合は水質に注意を。③手をこまめに洗う。(肉、魚、卵などを扱う前後、動物に触った後、トイレの後、鼻をかんだ後など)④肉汁、魚汁などが野菜、果物、包丁、まな板などにかからないように。⑤冷凍食品の解凍は室温では行わない。(冷蔵庫の中か電子レンジでの解凍がおすすめです。)⑥包丁、まな板、ふきん、たわし、食器などはこまめに洗う。

ポイント4:調理
①加熱するときは充分に。(中心部の温度が75℃で1分以上)②調理を途中でやめるときは冷蔵庫に入れる。

ポイント5:食事
①食事の前に手を洗う。②暖かい食事は暖かく、冷やして食べる食事は冷やして食べる。③食品は室温で長く放置しない。(O157は室温で15~20分で約2倍に増えます)

ポイント6:残った食品
①残った食品は小さな容器に小分けして冷蔵庫へ保存(早く冷えるように)②時間が経過した食品は思い切って捨てる。③残った食品を温め直すときは充分に加熱(75℃以上)。

食中毒は予防できる病気です。以上の6つのポイントをきちんと行い家庭から食中毒を無くしましょう。それでも具合が悪くなったらかかりつけ医に相談しましょう。(2000.6.26)

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