一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 粉瘤(アテローム)
  • 投稿者:大刀洗診療所 院長 友清 明

我々臨床医(特に外科医、皮膚科医)が、外来でよく見かけるものの一つに粉瘤があります。

Ⅰ.
病理 
上皮嚢腫とも称され良性の表皮性腫瘍の一つで、真性と仮性の二つに大別される。
1.真性粉瘤:表皮の真皮内迷入したものを壁として形成された嚢
(表皮が内側にめくれこんだ状態)
①表皮様嚢胞:表皮と真皮乳頭層を嚢胞壁としたもの
②皮様嚢胞:皮膚全層を壁として皮膚付属器官まで含むもの

2.仮性粉瘤:毛嚢や皮脂腺の貯留嚢胞として生じたもの
(毛穴が皮脂や垢でつまった状態)    

Ⅱ.症状

1.好発部位:顔面、被髪頭部、頚部、耳、背中など。毛の生えるところはどこにでもできる可能性あり。
2.大きさ:1mm位から数cmまでおよぶものあり。
3.形:半球状に隆起し、表面は平滑で正常皮膚に被われていて中心に小さな黒点あり。
4.性状:柔らかく、押すと悪臭のある白色粥状物が出る事が多い。大抵は表皮と癒着し、下床に対しよく動く。普通は痛みはないが、細菌感染を起こすと赤く腫れ痛くなる。 (炎症性または感染性粉瘤と言う)

Ⅲ.治療

放置すると嚢胞(袋)の中で皮脂物が溜まり増大する。炎症のある時は抗生剤、消炎 鎮痛剤を投与し、炎症が治まってから袋ごと摘出する。嚢胞の一部でも残ると再発するので、完全に摘出することが大事である。

真性のものは防ぎ様がないが、仮性のものは日頃から皮脂や垢をよく石鹸で洗い流す事である程度は予防できるかもしれない。それと一旦出来てしまったら余りいじり回さないことである。炎症を起こしてしまうからである。

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