一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

渡辺内科胃腸科医院 院長 渡辺 正俊

  • 大腸がん
  • 投稿者:渡辺内科胃腸科医院 院長 渡辺 正俊

近年大腸がんの増加は著しく、近い将来日本人のがんの代名詞である胃がんを確実に抜くであろうといわれています。この大きな原因の一つに食生活の欧米化、ことに肉・脂肪類の摂取量の増加があげられています。したがって大腸がんを予防するには、これらの摂取を控え、野菜類を多く取って便通を良くすればよいということになります。
一般に大腸がんは自覚症状に乏しく、かなり大きながんでもあまり症状がでません。よくいわれる腹痛や便通の異常なども直接的にはあまり関係がないようです。大腸がんに唯一特有の症状というのは、がんからの出血に伴うもので、血便や軽度の貧血、あるいは便潜血反応の陽性などで、これらの症状があれば必ず精密検査を受けてください。せっかく症状がありながら、痔だろうと思って放置する例がいまだ多くみられるのは残念なことです。

精密検査には、エックス線検査と内視鏡検査があり、必要に応じて両者を行います。以前には確かに胃に比べて大腸の検査は苦痛を伴うものといわれ、これが大腸検査の普及を妨げていましたが、最近ではかなり改良され、比較的楽に検査を受けられるようになっています。特にほとんど症状のない早期がんを発見するには便の潜血反応だけでは不十分であり、これらの検査を行う必要があります。理想的には毎年エックス線検査か、内視鏡検査を受けるのがよいのですが、それではなかなか大変ですので、これらの検査を3~4年に1度、便の潜血反応を毎年受けるのがよいでしょう。

大腸がんの予後は比較的よく、かなり進行したものでも、手術により多くは治癒が期待できます。ことに早期がんの大部分はポリープの形をとり、おなかを切ることなく内視鏡的に簡単に摘除できます。特に早期がんのうち粘膜内がん(mがん)と呼ばれるものは転移の心配がないためこれにより治療はすべて完了します。このようながんを多く発見するためにも、積極的に検査を受けるようにしましょう。

PAGE TOP