一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • かぜ症候群
  • 投稿者:まどかファミリークリニック 町野 亜古

 年明けの投稿ということで、新年のご挨拶を申し上げます。
年末年始はどのようにお過ごしされたでしょうか。「かぜを引いて寝正月」を過ごされた方もいらっしゃるかもしれません。
2019年世界全体がコロナウィルスのパンデミックを経験し、感染症にかかった時の社会、学校、保育園や幼稚園の対応、家族や個人の中での対応も変化してきたなと感じる日々です。熱が出たら早めに休む、適切な感染予防の日数が経過して復帰する、などは感染予防的観点からは良い変化だと思います。
 (子育てしながら働く身としては辛いところがありますが、小郡市は病児保育とその利用料補助を提供しているのはありがたいことです。1))
さて、私たちのクリニックでは熱が出た、咳や鼻汁が出た、喉が痛い、などと様々な感染症に出会います。その中でも、鼻から喉までの粘膜(上気道)の炎症のことを上気道炎と言い、一般的に“かぜ症候群”と表現します。かぜ症候群の原因の80-90%はウィルスによるものと考えられています。
“かぜ症候群“を診察する際は病歴(いつ、どのような症状が始まったか、感染の流行情報や接触歴、既往歴)、検査(診察時のタイミングでできる最適な検査は何か)、診断、治療法(薬の種類や形状の選択、アレルギーの有無)、感染予防(家族内、社会的な予防)について、適切な医学情報を提供した上で、それぞれの方の背景や病状に併せて患者さんと一緒に最善な選択を考えます。
基礎疾患のない、免疫力のある患者さんで、ウィルス性の上気道炎”かぜ症候群“と判断した場合は、自分の免疫で軽快していくことを前提として、まずは症状を和らげる薬を処方し、病気の経過を観察するようにします。
 よくある病気なのに実は研究数が少ないかぜ症候群に使われるお薬ですが、少しだけご紹介します。基本的には自己免疫で軽快するため、お薬は症状の緩和を目的としています。
前述の通り、かぜ症候群の80−90%はウィルス性なので、基本的には抗生剤は必要ありません。不要な抗生剤の使用は耐性菌を増やすことにつながるので避けたいところです。
また、花粉症の際に多く処方されることから“鼻水止め”と間違って認識されていることが多いのが抗ヒスタミン薬です。かぜ症候群において鼻汁症状軽減効果はなく、小児で熱性けいれん既往がある場合は注意が必要です。アセトアミノフェンは言わずと知れた解熱鎮痛剤で、初期の発熱や頭痛などの軽減に役に立ちます。罹患期間を短縮する効果はありません。小児の研究でカルボシステインは咳の回数と強さ改善したとの報告があります2)。自宅療養としては水分摂取が重要です。特に温かい飲み物は鼻の粘膜の血流が増え、呼吸器分泌物排泄促進が期待できます。また鼻吸引、鼻洗浄も効果的です。咳に対してはハチミツが夜間の咳や睡眠の改善効果があるという研究がありますが3)、ボツリヌス中毒のリスクがあるため、必ず1歳未満には食べさせないようにしましょう。
かぜ症候群の理解と自宅療法の一助になれば幸いです。
それでは、皆様、今年一年もよろしくお願いいたします。

【参考文献】
1) 小郡市役所 こども家庭支援課 こども家庭係
https://www.city.ogori.fukuoka.jp/203/958/970

 

2) 小児内科 vol. 52 増刊号 2020

 

3)Pediatrics. 2012 Sep;130(3):465-71.

 

令和8年1月

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