
- むせが増えたら注意!誤嚥性肺炎のサインと予防
- 投稿者:新古賀リハビリテーション病院みらい 院長 大坪 義彦
誰にでも起こりうる「誤嚥性肺炎」とは?
最近、「誤嚥(ごえん)性肺炎」という言葉を耳にする機会が増えていませんか?
誤嚥とは、本来は食道に入るはずの食べ物や唾液が、誤って気管(空気の通り道)に入ってしまうことをいいます。
飲み込んだものが気管に入ること自体は、若い健康な人でも起こりますが、通常はむせるなどして外へ押し出せるため問題にならないことがほとんどです。
しかし、飲み込む力が弱くなっている(嚥下機能が低下している)場合は、気管に入ったものがうまく外へ出せず、肺まで到達してしまうことがあります。
そのとき、食べ物や唾液に付いている細菌が肺に入って炎症を起こしたものが 「誤嚥性肺炎」 です。
誤嚥性肺炎は増えている
・入院件数:約18万7000件/年(2023年度)
・死亡数:約6万4000人/年(2024年度)
高齢化に伴い、年々多くの方が誤嚥性肺炎で治療を受けています。
誤嚥性肺炎の症状
典型的な症状は、
・発熱
・咳、黄色〜緑色の痰
・息苦しさ
などですが、高齢の方では次のような一見わかりにくい症状だけが出ることもあります。
・いつもより元気がない
・ぼんやりしている
・食欲がない
このような症状がある場合は早めに受診しましょう。
誤嚥性肺炎の診断と治療と診断
●診断
血液検査で炎症の有無を調べ、胸部レントゲンやCTで肺炎の影がないかを確認します。原因となる細菌を調べるために、痰(たん)を採り、どんな菌がいるか検査することもあります。
●治療
主に抗生剤を使います。
誤嚥を防ぐために、日常で気づけるサイン
誤嚥性肺炎を発症する前に、できれば誤嚥自体を防ぎたいものです。
次のような症状がある場合、飲み込む力(嚥下機能)が弱っている可能性があります。
1.食事中にむせることがある
2.口の中に唾液がたまりやすい、よだれが出る
3.飲み込みに苦労することがある
4.かたい物が噛みにくくなった
5.舌に白い苔(こけ)のようなものが付いている
6.声が変わった(ガラガラ声、かすれたような声)
7.よく咳をする
8.食事を残すことが多い、食べる量が減った
9.体重が減った(1か月で5%以上、半年で10%以上)
家でできる嚥下チェック
下の方法は、簡便なチェック方法です。
| テスト名 | 方法 | 合格の目安 |
| 反復唾液嚥下テスト | のどぼとけに指を当て、30秒間に何回唾液を飲み込めるか数える | 3回以上 |
| 発声持続時間測定 | 深呼吸後、「あー」とどれくらい長く声を出せるか測る | 男性15秒以上/女性10秒以上 |
| パ・タ・カ
検査 |
5秒間でそれぞれ「パ」「タ」「カ」をできるだけ速く繰り返す | それぞれ1秒に6回以上(目安) |
気になるときは早めの受診を
上記のようなサインが見られた場合や、チェックで基準に満たない場合は、嚥下機能の低下が疑われます。
そのような時は、嚥下の専門診療を行っている
・耳鼻咽喉科
・歯科・口腔外科
・嚥下専門外来
などで相談できます。
必要に応じて、嚥下造影検査(レントゲン)や嚥下内視鏡検査を行い、結果に合わせて
・リハビリ
・お薬
・手術(必要な場合)
などの治療が行われます。
家でできる予防法
以下に家でできる予防法を記載していますが、必ず専門家の指導のもと、個人に合った方法で行うことが大切です。
●食事の工夫
・食べやすい硬さ・粘り・大きさに調整する
●飲み込み方の工夫
・飲み込む瞬間は少しあごを引く(軽くおじぎする姿勢)
・意識して「ごっくん」と飲む
・一口の量を少なく
・むせたら無理せず咳をして出す
・食事に集中する
●嚥下体操(お口やのどの運動)
・頬のふくらまし運動
・舌の運動(舌の出し入れ、唇の周りを舐めるなど)
・発声練習「パ・タ・カ・ラ体操」
・のどや首の筋力を高める体操


「嚥下おでこ体操」 「顎持ち上げ体操」
お口のケアもとても大事です
誤嚥性肺炎の予防には、
・口の中を清潔に保つこと
・義歯(入れ歯)の調整などでかみ合わせを整えること
も、とても重要です。
歯科での定期的なチェックをぜひ取り入れてください。
令和8年1月