一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 低用量ピルについて
  • 投稿者:松隈産婦人科クリニック 院長 松隈 孝則

低用量ピル(以下OCと略)は、開発当初から比べるとホルモン量は2分の1から5分の1と、かなり少なくなっています。日本ではこれまで、月経困難症や月経不順などに用いられてきた中用量ピルが避妊のために服用されてきました。
1986年から厚生省の臨床試験が始まり、いろいろな角度からの検討を終え、このたび医薬品としての有効性と安全性が確認されて、経口避妊薬としてOCが登場することになりました。

 

 OCは卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)というホルモンの組み合わせです。その働きは、子宮の入り口の頚管粘液の分泌を抑制することによって精子が子宮の内方へ進入しにくくする一方、子宮内膜の増殖を抑制して受精卵の着床を防ぎます。
同時にまた、性腺刺激ホルモンの分泌を抑え排卵そのものを抑制します。このような強力な避妊作用が重なることによって、妊娠を防ぐことができるのです。
OCは従来の中用量ピルに比べてホルモン量が少ない分、服用を忘れると、上記の防御作用が働かなくなるために避妊効果が薄れることも当然のこととして理解しておく必要がありあります。OCにも現在9種類程度の製品がありますので服用し忘れた場合の対応は、それぞれの製品によって若干ことなることもあり、主治医の先生によく確かめておきましょう。

 

 OCを服用しはじめてすぐの頃に、むかつき、吐き気、頭痛、乳房痛、軽い子宮出血などが起こることがありますが、これらは、服用をつづけていくうちにほとんどなくなります。
注意したいのは、血栓症などの循環器系に対する副作用です。
たばこを喫う人、特に35歳以上の喫煙者がOCを服用すると、動脈硬化心筋梗塞などの心臓の病気が発生しやすくなります。すでに循環器系の病気を有する人はもちろん、35歳以下でも1日に15本以上の喫煙者はOCの使用は避けるべきと指導しています。

その他にも細かな注意事項がありますが、それらは主治医の先生に確認して、納得して服用を始めるべきです。

 

OCは望まない妊娠を防ぐくとができても、SEXなどで感染するさまざまな病気(STD:性感染症)を防ぐことができないことも知っておく必要があります。こうした病気を防ぐにはコンドームの正しい使用が有効であることも認識しておくことが大切です。

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