一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

嶋田病院 外科 横山 忠弘

  • 感染性粉瘤
  • 投稿者:嶋田病院 外科 横山 忠弘

粉瘤というのは、多くの人の体のどこにでも発生する出来物(腫瘍)です。皮膚の直下にあり皮膚を裏返しにした袋状の出来物で、中に皮膚の垢が落ちて貯まる様に増えて徐々に大きくなって来ます。ある時、皮膚表面との間に交通が出来、内容が出て来る事もありますが、目に見えない位の交通で皮膚表面の細菌が進入し感染を起こすと、急に増大し、真っ赤に腫れて、周囲に炎症が拡がり、痛みが出て来ます。自然に自潰して膿が出る事もあります。この様になった物を感染性粉瘤と呼んでいます。この様な時点で来院される事が多いのですが、炎症が強いとキレイに切除して一時的に縫合閉鎖するのは困難です。切開排膿して炎症を抑え、後に切除術を行うか、一時的に切除しても完全に縫合閉鎖は困難で、一部開放して通院、創の洗浄を行い、肉芽が盛り上がって来るのを待たなければならない事が多いでしょう。いずれにしても治療に数週間かかります。炎症が無ければ、一時的に切除して一週間位で抜糸し早期治癒が期待できます。
粉瘤とはこの様な疾患で、良性なのでいずれ治癒できますが、似た様な症状を呈する物にいろんな疾患があります。
良性疾患では
毛嚢炎、化膿性リンパ節炎、蜂巣炎(蜂窩織炎)、肛門周囲膿瘍、ガングリオン、脂肪腫などがあります。
稀には悪性腫瘍(リンパ肉腫、脂肪肉腫、皮膚癌、他臓器癌の皮膚転移など)もあり、増大傾向があれば早く受診される事をお勧めします

平成19年7月

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