一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 尿検査のはなし
  • 投稿者:高山泌尿器科クリニック 院長 中島 啓二

 病院や検診で尿検査を受ける機会は多いと思います。尿検査は簡単で、からだへの負担が少ない検査法です。今回は、尿検査は何を検査しているのか、どういう病気がわかるのかについて、お話しします。
□ 尿蛋白
 尿に蛋白が含まれているかを検査します。正常は陰性です。尿蛋白が出現する病気で大事なのは、慢性腎臓病という腎機能が低下する病気です。慢性腎臓病は進行しないと自覚症状が出にくい病気で、早期に発見して原因となっている病気を治療、管理する事が大事です。
 良性の蛋白尿もあります。起立性や運動性のものです。これらの場合、早朝尿では陰性となります。尿が泡立つという人は蛋白が出ているかもしれません。検査を受けてみてはいかがでしょうか。
□ 尿糖
 尿中の糖(ブドウ糖)を検出します。正常は陰性です。尿に糖が出る場合は糖尿病の可能性があります。ただし、尿糖だけでは糖尿病の診断はできません。尿に糖が出やすい体質の人もいますし、糖尿病でも尿糖は陰性の方もいます。血液検査で血糖を調べてもらうようにしましょう。
□ 尿潜血
 目に見える血尿を肉眼的血尿、尿潜血陽性の時は顕微鏡的血尿といいます。正常は陰性です。尿潜血陽性の場合、尿沈渣をおこないます。尿沈渣とは、尿を遠心分離して顕微鏡で観察する検査です。赤血球が観察される場合は、腎臓、尿管、膀胱に結石や腫瘍といった病気がある可能性があります。泌尿器科での精密検査をおすすめします。蛋白も陽性の場合は腎臓の病気の可能性がありますので、腎臓内科を受診されるとよいでしょう。赤血球を認めない場合は病的なことは少なく、定期的な検診を受ける事で良いことが多いです。
□ 尿白血球
 尿中に白血球があると陽性になります。正常は陰性です。尿に白血球が出現する病気は、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症です。たいていは、排尿時痛などの症状があります。陽性でも無症状の場合は、尿のとり方が悪かったり、検査まで時間がたち過ぎていた可能性があります。
□ pH
 ペーハーと読みます。pHとは、酸性やアルカリ性の数値のことです。中性が7.0で数値が小さくなると酸性、大きくなるとアルカリ性です。血液のpHは7.4と一定です。食事や睡眠などによる変化を尿が調節するために、尿のpHは5〜8と変動します。これは、どの値だったら良いとか悪いとかありません。ただし、尿路結石がある人は結石ができやすくなったり、大きくなったりすることがあるので、薬剤で調節することがあります。

 
 以上、主な項目を解説しました。ふだんから尿の色や混濁が無いか、注意してみてはいかがでしょうか。

 

令和3年12月

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