一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 高齢者の定期接種ワクチン(肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン)について
  • 投稿者:嶋田病院 八板 京子

定期接種は子供だけのものではなく、高齢者にもあります。現在のところ、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチン、インフルエンザワクチン、新型コロナワクチンが該当します1)。最近様々な変更が予定されていますので、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンについて整理してみます。

 

1. 肺炎球菌ワクチン

 

2026年4月より、今までの23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)から20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)に切り替わることとなりました2)。現在小児で用いられている肺炎球菌ワクチンと同様のものになります。結合型ワクチンは一般的に免疫記憶が長持ちすると考えられておりますので、肺炎球菌に対する予防効果がさらに高まる可能性があります。

 

今まで23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)を接種した方は定期接種ではなく任意接種(自己負担)として20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)や新しく発売された今までのワクチンでカバーしていない血清型をターゲットに加えた21価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV21)を接種することが可能です3)

 

また肺炎球菌は現在では100種以上の血清型があるとされます。近年の疫学を見ても、今までのワクチンでカバーできないタイプの侵襲性肺炎球菌感染症(血液などの本来菌がいない部位から肺炎球菌が検出される重症肺炎球菌感染症)が増えているというデータもあります4)。今後の動向が注目されます。

 

2. インフルエンザワクチン

 

2026年10月より、75歳以上の高齢者に対して、高用量インフルエンザワクチンが定期接種化されます。60歳〜75歳未満の方は任意接種(自己負担)となる方針です5)。これは含有するインフルエンザの抗原量をそれぞれ4倍にすることで免疫を高めようというワクチンになります。

 

従来のインフルエンザワクチン接種した人たちと比較して高用量インフルエンザワクチンを接種した人たちでは、インフルエンザや肺炎での入院を約2割減らすという報告があります6)。入院そのものも約7%減らすとされていますが、死亡率の低下はみられませんでした6)

 

最後に

どちらのワクチンも「これを接種すれば完璧に」予防できるというものではありません。ワクチンの他にも、手洗いやマスク着用、基礎疾患(持病)をしっかりかかりつけ医とコントロールする、など日々の予防も重要です。

 

 

 

参考文献

1.厚生労働省. 65歳以上に実施している予防接種https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/years-65.html (2026/03/07アクセス)

2.厚生労働省. 高齢者の肺炎球菌ワクチンhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-senior/index.html (2026/03/07アクセス)

3.日本感染症学会. 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版)

 https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=56(2026/03/07アクセス).

4.第30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会. 高齢者に対する15価及び20価結合型肺炎球菌ワクチンについて.

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001569903.pdf (2026/03/08アクセス)

5.第72回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会. 議事録https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67906.html(2026/03/08アクセス)

6.Skaarup KG, Lassen MCH, Modin D, et al. The relative vaccine effectiveness of high-dose vs standard-dose influenza vaccines in preventing hospitalization and mortality: A meta-analysis of evidence from randomized trials. J Infect. 2024;89(1):106187.

 

令和8年4月

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