一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
  • 投稿者:浜崎外科整形外科医院 院長 浜崎 恵

 特に打ったり捻ったりしていないのに、手首の親指側がひどく痛いと来られることがあります。そこがかなり腫れていることもあります。親指を中に入れてグーをして、小指側に曲げたときに、そこに激痛が生じればドケルバン病を疑います。男性にも見られますが出産後や中年の女性に多く見られ、ホルモンの関与があると考えられています。出産後の新生児の育児や、中年では仕事、家事、趣味(スポーツなど)で手を酷使したため生じます。最近ではパソコンやスマホの使いすぎで起こることもあります。原因は親指を動かす短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が通る腱鞘の炎症で起こる狭窄性腱鞘炎です。
 治療として、まずは痛んでいる部位の安静を保つ意味で親指の過度の使用を避けるようにします。痛み止めの内服、湿布、温熱療法などで治療しますが症状が強い場合は腱鞘内にステロイド注射をする事もあります。出産後の女性は授乳が終了すると大半は症状が軽快するので早期の離乳が進められますが、授乳中は内服、注射などの治療に制限があり、指サ ポーターなどの装具治療も考慮します。ほとんどがこのような治療法で良くなりますがまれに手術になることがあります。腱鞘を切開する手術ですが、近くに知覚神経などがあり、慎重な手術が必要なため手の専門の整形外科医に行ってもらうのが望ましいです。

 

令和元年8月

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