一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

ときえだクリニック 院長 時枝 啓子

  • ワクチン接種を受けましょう
  • 投稿者:ときえだクリニック 院長 時枝 啓子

予防できる病気は予防して、なるべくかからないようにしたいものですね。
感染症全部を予防できるという訳ではありませんが、
今のところ世界中で普及して効果を上げているワクチンは、受けておくべきだと考えます

 赤ちゃんが生まれて2ヶ月後からワクチンを受けるスケジュールが普及しています。
まず、公費負担のあるワクチンをご紹介しましょう。
生後2ヶ月ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンを接種します。
どちらも、重症の感染症(敗血症や髄膜炎など)を強力に予防してくれます。
これらは1ヶ月毎に3回連続で受けます。
生後3ヶ月からは、四種混合(百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオ)ワクチンを接種します。これも1ヶ月毎に3回連続で受けます。
5ヶ月からBCGワクチンが受けられます。これは結核を予防するためのものです。

 生まれてから早いうちに受けておくべきワクチンで、まだ公費負担にはなっていないものにロタウィルスワクチン、B型肝炎ワクチンがあります。
ロタウィルス感染症は、冬から春先に多く、激しい嘔吐・激しい下痢・高熱・脱水などが症状です。
脳炎や脳症の合併も多く、現代の日本でも年間10-20人が亡くなる怖い疾患です。
もしかかると、医療費はもちろん、目に見えないお金が高く付き(外来受診、入院、看病のための親の欠勤など)、1回につき4万円前後の損失があると試算されています。
ワクチンは 注射ではなく、飲むワクチンです。
ワクチンが受けられる期間は限られていますので、上記の公費ワクチンと同時に受けていくのをお勧めします。
B型肝炎は、これまで母子感染のみが医療保険での予防対象でした。
しかし、父子感染や祖父母からの感染、そして集団生活内での感染も少なくないことが分かり、今では世界の193国中180国が公費での接種を行っています。
日本でも遅ればせながら平成28年春からは公費負担が開始されると思います。
B型肝炎ウィルスは幼少であればあるほど感染しやすく、症状の進行も早まります。
ウィルスを有する人(キャリア)の血液はもちろんのこと、唾液・汗・尿からも感染します。
乳幼児で皮膚の弱い子の傷口から、キャリアの体液が入るだけで感染が起こります。
できるだけ月齢が若いうちにワクチンを受けておくことをお勧めします。

 1歳になったら麻疹風疹混合ワクチン(MR)の1 期と水痘ワクチンを公費で受けましょう。
ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの追加も同時に受けられる人は一緒に受けます。
水痘ワクチンは3から6ヶ月あけて2回接種します。
そのあたりで前後して、四種混合ワクチンの追加も受けましょう。
できたら、MRや水痘ワクチンの後に、おたふくかぜワクチンも受けておきましょう。
おたふくかぜワクチンは現在のところ任意接種ですが、おたふくかぜにかかると、かなりの高率で難聴を残しますし、髄膜炎・卵巣炎・精巣炎・膵炎などを合併することもありますので、ぜひ受けて下さい。

 3歳になったら、日本脳炎ワクチンが公費負担で受けられます。
1期の1回目と2回目は3-4週間あけて 、その後おおよそ1年後に追加接種をします。

 小学校に入る前の1年間に、MRワクチンの2期を接種します。
このとき、接種し忘れていたワクチンがないかをよく確認しましょう。

 生まれてから就学までのワクチンを簡単にご説明しました。
スケジュールがびっちり詰まるように見えるかも知れませんが、きちんと計画的に受けていけば心配ありません。
かかりつけ医でワクチン計画を立ててもらって下さい。

 少子化で減ってきた子どもたちを、「ワクチンで予防できる病気」で失わないために、時々は母子手帳をチェックしてみて下さいね。

平成27年8月

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