一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 外傷でない小児の四肢痛
  • 投稿者:古川整形外科医院 院長 古川 泰之

明らかな外傷なく起る手足の痛みで来院する小児は珍しくありません
痛みの程度も様々で前の晩痛がって夜泣きしたとか、跛行に母親が気付いたとか、痛みが以前からあったけど長引くので心配になったといったことで来院されます。
診察所見に乏しく、レントゲンをとっても異常なく原因不明で成長痛として様子観察になることもよくあります。
成長痛は単一疾患ではなくそもそも定義が存在せず、除外診断をした残りです。
痛みは一過性で繰り返すこともあるが特に重大な問題はおこらないものとして一般に解釈されています。
しかしながら重大な疾患が隠れていることが稀にあります
先日、学童で2週間前から膝が痛いとのことで来院、膝の腫れがあり、レントゲンを撮ってみると典型的な骨肉腫で、すぐに腫瘍専門医に紹介したのは言うまでもありません。
日本国内で骨肉腫の発生は年間に200人ほど(ほとんど若年者で膝に多い)でかなり稀な病気ですが当院で10年ほど前にも同様の事がありました。
骨肉腫は治療法が進歩し、できるだけ切断を避け人工関節+抗がん剤療法で5年生存率が50%を超えるようになっているようですが子供だけに本人と家族の心情を思うと非常につらいものがあります。
早期発見が大切です
痛みの程度は様々で本人の痛みを訴えている部位と病変部位が一致しないことがあり要注意です。
一般に大人もですが、特に子供は病院に連れて行かれるのがいやで痛みを言わなかったり、運動を休みたくないといった理由で受診が遅くなることがよくあります。
大部分は心配のないものですが、見極めだけは不可欠です
歩き方が変だとか関節を動かそうとしないなど家族の方の注意深い観察が早期発見につながります。
四肢の痛みがあっても翌日ケロッとして走り回っている場合はまず大丈夫ですが、繰り返す場合特に腫れがあるときは念のため早めに受診してください。

平成24年12月

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