一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

協和病院 理事長 中山 博司

  • 大人のリンゴ病~妊婦は特にご用心~
  • 投稿者:協和病院 理事長 中山 博司

リンゴ病は主に保育園や幼稚園、学童の間で流行する感染症ですが、大人にもしばしば感染します。小児のリンゴ病の流行期に大人、特に子供と接触の多い20~30歳代の母親がリンゴ病に感染することが多いといわれています。
「リンゴ病」は子供では初めに両頬がリンゴのように赤くなることから名付けられた、ウイルス性感染症「伝染性紅斑」のことです。
せきやくしゃみのほか接触によって感染し、感染自体を防ぐことは難しいようです。原因ウイルスは「ヒトパルボウイルスB19」です。潜伏期は約一週間で、軽い発熱、かぜ症状が起こります。その後、大人のリンゴ病では子供のように頬が赤くなることは少ないが、手や腕、脚に小さい赤い斑点が出てきます。

<小さい赤い斑点>

 赤い斑点はよく見ると連なっていてレース様と表現されますが、実際は赤い斑点のように見えます。この頃から大人では関節痛や関節炎が起きます。関節痛の頻度は成人女性では60%、成人男性30%と高率に出現するようです。このような赤い斑点や関節痛は普通一週間くらいで自然に治ります。治療はこれといってありません。対症療法のみです。

 大人のリンゴ病は、紅斑のほか、かぜのような症状を示し、夏かぜや冬には発熱と関節痛のために、インフルエンザを疑われたり、原因のわからない手足の斑点と関節痛のために、他の病気と間違われたりすることがあります。
不顕性感染(感染しているけど症状に現れない)も多いと言われています。成人の30~60%が抗体を保有しているようです。

妊婦が感染すると、本人には症状がなくても胎盤を介して胎児に感染して、流産や死産の原因になりうると言われていることです。 
保育園や幼稚園で流行している場合は、妊婦は施設に立ち入らないようにするなど、注意が必要です。

感染経路は飛沫感染か接触感染による感染です。せきエチッケトや手洗いの徹底が重要です。

<人にうつす可能性のある期間>

 感染後約一週間~10日で、紅斑などの特徴的な症状が現れる時期には、ウイルス血症は既に終わって おりほとんど感染力はありません。ウイルスの排泄量が最も多いのは特徴的な症状が現れる一週間~10日前で、この時期には微熱や鼻づまり、せきなどの諸症状しかなく、伝染性紅斑と診断するのは困難で、このことが予防が非常に難しい要因になっています。

平成23年6月

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