一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

徳富クリニック 院長 徳富 康男

  • 帯状疱疹とその後の痛み
  • 投稿者:徳富クリニック 院長 徳富 康男

帯状疱疹に罹って皮膚症状が改善した後も痛みが残ることがあります。
帯状疱疹の原因はウイルスで、通常片側の神経の走行に沿った痛みと皮膚に帯状の紅班と水疱を生じます。頭部、胸部、腹部、手、足のいずれの部位にもおこりえます。多くは3-4週で皮膚症状も痛みも改善しますが、症状が強かったり体力が弱かったりした人の中には、皮膚は治ったけど痛みが取れない患者さんがいます。この痛みは、通常は痛みと感じない刺激、たとえば、衣服が擦れるような刺激を痛みと感じることです。これは神経が傷ついた為におこる痛みです。皮膚の痛みに対して使われる多くの痛み止めは、皮膚や周囲の障害により生じる発痛物質の合成を阻害することにより、痛みを軽減します。痛みは発痛物質を神経が感受して脳に伝えることにより痛みを感じるので、神経が障害されたための痛みは、この痛み止めでは効果が期待できないようです。最近はこのような痛みに効果のある末梢神経障害性疼痛治療剤のプレガバリンと言う薬があります。この薬は中枢神経系において、カルシウムに作用し神経伝達物質のグルタミン酸などの遊離を抑制することにより、神経が障害されたための痛みをやわらげます。今後はこの薬もこれまでの薬物療法に加わって、理学療法、神経ブロック等と組み合わさった治療が行われると思います。
上記の医療機関での治療の他に、体が温まり血液の循環が良くなり痛みが和らぐ入浴も良いでしょう。また痛み以外に気が向くように音楽を聴いたり、趣味を持ったり、積極的に外出することも良いでしょう。

 

 

 

平成24年5月

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