一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

蒲池病院 院長 蒲池 麒一郎

  • 気分障害
  • 投稿者:蒲池病院 院長 蒲池 麒一郎

現代世の中が多様化するにつれストレスによる気分障害、就中「うつ状態」「うつ病」を呈する人が多くなり、昨今では男で15~16名に1人、女では7~8名に1人発呈する様になっているごくポピュラーな疾病であります。

元来この病気は病前の性格が大きく影響しているといわれていました。いわゆる執着性格というもので仕事熱心、正直、几帳面、凝り性、強い正義感、責任感等を有する性格の人々に発病することが多いといわれて来ました。この性格の人は多彩なストレスに耐えられず知らず知らずのうちに精神的疲労状態に陥り易く、それが疾病を誘発すると考えられます。この病気は内因性・心因性・身体因性うつ病と分類されていましたが、最近は「うつ病」「うつ状態」として一括して処理しています。

 

《 病 状 》

1. 感情障害
抑うつ気分、晴ればれしない、悲哀感、絶望感、不安、焦燥、不関等をみとめます。

2. 知的活動(思考制止)
思考は緩慢で著しく難渋し記憶、判断、決断力が欠如し、自分はつまらぬ人間だ、将来に対してまったく見とおしがない等を感じ悲観的となり罪業妄想、貧困妄想、心気妄想が出没して来る。

3. 運動制止
人と会うのも億劫で来客があれば避けてまわる、TV、新聞もほとんど興味を示さず買物とか散歩へ外出することもなく意思の発動に大きな抵抗を生じます。ようするに何もしたくないという状態です。

4. 身体症状
自律神経症状が全身にわたって発呈する。主に睡眠障害(不眠)、食思不振、性欲減退、頭重感、動悸等の多様な身体的症状を認めます。

 前記の症状には「日内変動」といわれる午前中に特に症状が重く、夕方になるといく分気分が良くなるという、極端に述べれば「朝はジャングルの中に居り、夕方になると草原を走っている様な気分」といわれている様な特長があります。

《 治 療 

1. 薬物療法、精神カウンセリング

2. 環境の調整
(イ) 本人は3~4週間は自宅で本人が好きな様にしたい様にブラブラさせる事
(ロ) よく本人の話を聴いてやり、気のせいとか根性がないとか云わず、受容的に接する事
(ハ) 決してはげましはしない事
本人は何をするにも大変億劫なのですから行動をしいる事は大変な負担です。
(ニ) 気分転換に旅行等に連れて行くなどはしない事

上記の如く心理的環境上条件を整えての、支持的受容的で暖かな家庭や周りの人の接し方が一番大切です。

薬物の発達と共に「うつ病」は70%は寛解(治癒)する病気となりました。極論すると自殺の恐れさえなければ1~2年で放置しても治癒します。
しかし、残念な事にその間に厭世的となり不幸にも自殺に至る人が現在も3万人前後は認められます。なるだけ早期に専門医を受診することが大切であり、又予防の為にも行政は一刻も早くスクールカウンセラー、産業医の配置を十分に行うべきだと考えられます。

平成17年7月

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