一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 胃アニサキス症
  • 投稿者:いけだクリニック 院長 池田 秀郎

先日、普段元気な患者さんが、今朝方から急に上腹部に激痛が出現したとの事で受診されました。良くお話を聞くと,昨晩ゴマサバを食べたとの事。ハハーンと思いすぐに胃の内視鏡を行いました。すると胃の粘膜に2cm程の白い糸状の原虫が食い込んでいます。すぐに生検鉗子を使い、途中でちぎれない様に注意しながら粘膜から除去し回収しました。その後胃全体をもう一度良く見ると胃の入り口にももう一匹居ました。それも同様に回収し、他に病変の無い事を確認して内視鏡検査を終了。そうですこれが胃アニサキス症です。
アニサキスはサバやイワシ・イカなどの内臓に寄生する原虫で、刺身で食べると身に付着した幼虫が胃に入り、胃粘膜に食いつき症状を起こします。腹痛以外に吐き気やジンマシンを起こす事も有ります。この幼虫は非常に元気で胃液の中でも1週間近く生きています。回収してホルマリン液に入れても丸1日は生きているほどです。ですから、そのまま放置して痛みに耐えておれば、1週間程で死滅して症状も無くなる事が多いですが、稀に小腸に食い込んで肉腫様となり、腸閉塞を起こす事も有りますので要注意です。まあ1週間も激痛に耐えるより内視鏡検査を受けた方が無難ではと思いますが。

 -20℃で48時間冷凍するか、加熱調理をすれば死滅しますが、サバやイカの刺身はとっても美味しく、アニサキスの危険を冒してでも生で食べたい方は多いと思います。食べるときはそれ相応の御覚悟を。

胃アニサキス症の患者さんに遭遇する度に昔、魚好きの先輩から、サバの刺身は良く噛んで、原虫も噛み切って食べると大丈夫なのだと習った事を思い出しますが、これは冗談で良く噛んでもだめな様です。

 最後に写真の真鯛にはアニサキスは寄生しません。                  

                
平成25年5月

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