一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 知っておきたいガンの最新知識
  • 投稿者:嶋田病院 院長 島田 昇二郎

ガンは日本人の死亡原因の第一位、四分の一を占める

 わが国でガンで亡くなる人の数は年々増加し、1981年には、それまで死亡原因の第一位であった脳卒中を抜いて第一位になり、それ以来ずっとその地位は変わっていません。1990年にはガンで亡くなった人は全国で約二二万人に達し、全死亡者の約四分の一を占めるようになりました。日本人の四人に一人はガンで死んでいることなります。
ガンにかかっても、死なずに助かった人もいますので、実際にガンにかかった人の数は、ガンで亡くなったかたの数よりも多くなります。1990年に全国でガンにかかった人の数は、約三七万人と推計されています。これは小郡市の人口の約七・五倍に相当します。

胃ガンは減少傾向、大腸ガン、肺ガン、乳ガンは増加傾向

 日本人がかかりやすいガンで一番多いのは、胃癌ですが、胃癌の全体のガンのなかで占める割合は明らかに少なくなってきています。(それでも、全ガン中に占める胃ガンの割合は約四分の一を占めています)その一方で大腸ガン、肺ガン、膵臓ガン、胆道ガンなどは著しく増えてきています。特に大腸ガンにかかる人の数は過去十五年間でほぼ四倍になっており、二十一世紀はじめには胃ガンと同じくらいの数になると予測されています。

ガンはいまなお難病で、日本人の死亡原因のトップを占め、全死亡者の四分の一、高齢者だけにかぎれば、その半数がガンで亡くなっています。
治療法もいろいろあり、どれもまだ完全とはいえませんが、だからといっておびえてばかりいてはガンを克服することはできません。ガンとはなにかを理解し、ガンにたいする診断方法、治療方法の進歩も知っておく必要があります。
ガンにたいする無知な誤解から、ガンノイローゼになったり、かならず死に至る病気であるとおもいこんでいる人が意外に多いのです。

早期ガンは完全に治る

日本がガン制圧に積極的にのりだしてから、まだ三十年ほどです。しかし、ガンの診療研究は着実に進歩し、成果をあげてきました。
これまでにはっきりとしたことは、どのガンでも早期に発見すれば百パーセント近く治すことができるということです。また少し進行したようなガンでも、かなり治すことができるようになってきています。
目下のところ、完全なガンの予防法はありません。ガンで死なないためには、ガンを早期に発見し、治療することです。日本のガンの診断技術の進歩には、目をみはるものがあります。特に、胃、大腸における内視鏡による診断治療のレベルは世界でもトップクラス です。

病院を上手に利用し、積極的にガンと闘う姿勢を

体に何かささいな異常を認めた時は、「もしかするとガンではないか」と疑ってみること、医師に相談してみることです。ところが、ガンといわれるのが恐ろしくて、診察を受けに行かない人が実に多いのです。

早期ガンは百パーセント治る時代で、小さな手術でしかも短い期間ですむようになってきました。いまや、病院は、病気を治すためだけではなく、病気をみつけるために上手に利用する時代です。主治医にまず相談し、納得のいくまで説明を求めてください。ガンを恐れていたのでは、ガンに勝つことはできません。逆に、ガンをあなどるのも危険です。ガンを直視し、積極的に闘う姿勢こそが、ガンに打ち勝つ条件なのです。

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