一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

古川医院 古川 哲也

  • C型慢性肝炎について
  • 投稿者:古川医院 古川 哲也

C型肝炎とは、体の中にC型肝炎ウィルス(hepatitis C virus:HCV)が侵入することにより肝臓に炎症を生じる病気です。
 C型肝炎になっても、ウィルスが直ちに排除されてしまえば、急性のC型肝炎ということで治癒し、その後ほとんどの場合、問題はないわけですが、このウィルスはひとに感染すると、70~80%のひとで排除されることなく体の中に居座ってしまう、これがC型慢性肝炎です。
そうなると、肝臓に生じた炎症は年余にわたって持続し(血液検査のGOT、GPTあるいはAST、ALTといった項目の異常です)、極めて早いケースで5年前後、多くの場合は10年20年の年月を経たあと肝硬変、肝臓ガンにまで至ってしまうことになります。

 

以前、輸血後肝炎と呼ばれていた肝炎の多くがC型慢性肝炎であったことからもわかるように、この病気は血液を介して感染するものです。献血においてこの病気への対策がとられる以前は、輸血後のHCV感染率は十数%ありましたが、現在では1%未満に激減しています。
一方で、輸血を受けたことがないのにC型肝炎に感染している人も少なくはありません。この点については、昔、このような病気についての認識が低かった時代の予防注射や針治療、歯科治療、民間医療などが、感染を広めた要因として考えられています。

 

では、あなたの周りにC型慢性肝炎の人がいて、その人からあなたに病気が感染する危険性はどのくらいあるのでしょうか?
結論から申しますと、HCVの感染力は非常に弱く、感染は血液を介したものなので普通の生活の中では、まずうつることはありません。10年間生活をともにした夫婦でさえ、夫婦間で感染を生じていると考えられるのは10組に1組ないし2組ぐらいです。兄弟間や父子間での感染を証明した報告はありませんし、母子間の感染も5%以下であろうと報告されています。

そういうことで、あなたのお婆ちゃんや友達がC型慢性肝炎だということになっても、あなたは殊更に接し方を変える必要はまったくないわけです。食事で同じ鍋をつついても、一緒に温泉につかっても、同じ布団に寝ても決してうつることは、まずありません。
しかし、もし、病気の人があなたの奥さんや御主人ということであれば、あなたも一度は血液検査を受けてみて下さい。
また、あなた自身がこの病気であれば、日常生活の中で、出血時の血液の処理や、カミソリ、歯ブラシを共有しない、といった注意は必要です。

 

次に、この病気の診断について述べてみます。
あなたは時々健診や、病院で血液検査を受けていて、今までほとんど肝機能の異常は、指摘されたことはないかもしれません。あるいは、去年はごくわずか肝機能に異常がみられたけれど、今年はすっかり正常に戻っていて、もう肝臓は大丈夫と思っておられるかもしれない。
C型慢性肝炎で油断できないことは、たとえ血液検査で肝機能の項目がすべて正常であったとしても、この病気を完全には否定できないということです。
この病気は、比較的軽い肝機能異常が長期間持続するという経過をとります。当然、時期によっては、肝機能が全く正常である場合も少なくありませんし、肝硬変まで至っているにもかかわらず、血液検査では肝機能に異常がでないことさえあるのです。また、多少の肝機能異常があったとしても、まず自覚症状はありません。
C型慢性肝炎の診断には、まずHCV抗体の有無を調べます。最近は健診でもHCV抗体を測るところがでてきました。
HCV抗体が陰性であれば、まず、この病気は否定してよいでしょう。しかし、陽性ということになれば、かなり高い確率でC型慢性肝炎が疑われます。それでも抗体陽性の方の中には、過去(一時的に)C型肝炎にかかったけれど、今はウィルスは体から消えてしまっているのに、単にそのときの名残でHCV抗体陽性となることがありますから、最終的な診断までにはもう少し詳しい検査が必要になります。

 

最後に治療について、簡単に触れます。
慢性肝炎で肝機能の異常が続く場合には、炎症が長引くことによって、肝臓が傷んでしまわないように、炎症を抑える経口薬や注射薬を使用しますが、ウィルスを消し去って、本当の意味でこの病気を治癒させうる薬剤は、現時点ではインターフェロンのみです。
ただし、インターフェロンでの効果は、ウィルスの量や、タイプによって大きく左右され、実際にインターフェロンでウィルスが消えてしまう方は、おしなべてみると患者さん10人のうち3人程度と、皆の期待に応えうるとは言い難いものがありました。
しかし最近になって、新しいタイプのインターフェロンや有効な併用薬が使えるようになり、以前はインターフェロンでの完治するのが難しかったような方にも効果が期待できるようになってきています。

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